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第94回センバツ高校野球

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飛躍の春に

20センバツ・倉敷商 チームの軌跡/下 さらなる高み目指す /岡山

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広島新庄戦の十一回に勝ち越しの3点三塁打を放ち、塁上でガッツポーズする倉敷商の原田主将=米子市のどらドラパーク米子市民球場で、野原寛史撮影 拡大
広島新庄戦の十一回に勝ち越しの3点三塁打を放ち、塁上でガッツポーズする倉敷商の原田主将=米子市のどらドラパーク米子市民球場で、野原寛史撮影

 2019年10月、県大会で手応えを得て臨んだ秋季中国大会(鳥取県)では、倉敷商の選手たちの成長ぶりが随所に垣間見られた。

 1回戦の境(鳥取)戦のマウンドを託されたのは、福家悠太投手(2年)。夏まで内野手だった福家投手は新チーム始動とともに本格的に投球練習を始めたばかりで、県大会では左腕・永野司投手(1年)らとの継投で勝ち上がった。しかし、この試合は「いけるとこまで全力で投げようと思っていた」。課題だった体力不足を解消するため下半身強化に取り組んだことが実を結び、14奪三振完封でチームを勢いづけた。

 準々決勝は矢上(島根)と対戦。二回に先制したが直後に追いつかれ、その後も失点を重ねて劣勢に回った。だが、2点を追う七回終了時、ベンチで梶山和洋監督(32)が選手全員を集め、「ずっとこういう試合で勝ってきた。絶対行ける」と鼓舞すると、選手たちは練習試合で逆転勝ちを重ねたことを思い出して奮い立った。

 八回に1点を返し、なお2死二、三塁の場面で、打席に立った原田将多主将(2年)は「強気に振ろうと決めていた」。言葉通り、初球の内角高め直球を左翼に運び、逆転の2点適時二塁打。九回にも同点に追いつかれたが、延長十回にも原田主将が無死一、二塁から左翼席へ3ラン。延長十一回の末に10―9で勝利をもぎとった。

 原田主将には苦い記憶があった。19年夏の岡山大会決勝。岡山学芸館に1点リードされて迎えた九回裏に三振に倒れ、最後の打者になってしまった。その直後に新主将に指名され、「自分に務まるだろうか」と不安でいっぱいだった。それでも、「悔しさを晴らすためにも、同級生と一緒に甲子園を目指そう」と練習に励み、「あの経験から積極性が大事だと思った」。教訓を生かした一振りで勝利を引き寄せた。

 続く準決勝の広島新庄戦も延長十一回に原田主将が試合を決める勝ち越しの3点適時三塁打。勢いに乗った決勝の鳥取城北戦は序盤に大量リードを奪って逃げ切り、初の頂点へ。梶山監督は「よく頑張った」とねぎらうと同時に、選手たちに念を押すように言った。「まだ通過点。ここがゴールではない」

 年が明けて迎えた1月24日、センバツへの切符を手にし、原田主将は力を込めて言った。「一人一人が粘り強く練習していけば夢はかなうと思う」。8年ぶりの春は、さらなる高みを目指す春だ。【松室花実】=この項おわり

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