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社説

トランプ氏の新和平案 際立つイスラエル一辺倒

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 トランプ米大統領がイスラエルとパレスチナの中東和平案を発表した。イスラエル寄りの姿勢が際立つ。

 パレスチナ国家の樹立を認めると言いながら、エルサレムをイスラエルの首都とし、パレスチナ自治区があるヨルダン川西岸のユダヤ人入植地をイスラエル領とするという。

 エルサレムの帰属は決まっておらず、ヨルダン川西岸への入植は国際法違反というのが、長年にわたる国際社会の共通認識である。それにことごとく反している。

 パレスチナ側が「陰謀の取引」と反発するのは当然だろう。和平の展望を描けない、あまりに一方的な提案と言うほかない。

 パレスチナは第二次大戦後、国連の決議でパレスチナ人とユダヤ人の居住地に分割し、エルサレムを国連管理とすることが決められた。解決策とする「2国家共存」の土台だ。

 しかし、イスラエルはパレスチナ人が住むガザ地区や西岸、パレスチナが将来の首都とする東エルサレムを軍事占領し、入植を進めてきた。

 国連安全保障理事会は入植の即時停止を決議している。和平案を受けて国連のグテレス事務総長が決議の順守を求めたのは、イスラエルへの非難が込められているのだろう。

 米国は約40年前にカーター政権が入植を「国際法と矛盾する」と表明し、それを継承してきた。その中立を壊したのがトランプ氏である。

 エルサレムをイスラエルの首都と認定して大使館を商都テルアビブから移転させた。従来の政府方針を転換して入植活動を容認した。提案はこの偏った政策に基づいている。

 発表にあたりトランプ氏はイスラエルのネタニヤフ首相を招待し、パレスチナ自治政府のアッバス議長を招かなかった。真剣に和平合意を実らせようという態度とは思えない。

 今秋の大統領選での再選をにらみ、保守層に強い影響力を持つ親イスラエルのキリスト教福音派にアピールするのが狙いなのではないか。

 福音派の著名伝道師が創刊した有力誌が、トランプ氏は「道徳を欠く」と弾劾裁判での罷免を求める論説を掲載し、波紋を広げている。

 支持基盤のきしみを修復する思惑なら、重大な国際問題を自らの政治的な利益を得るための道具に使っていると見られても仕方ない。

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