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素人だったけど…チベット映画の上映支える字幕翻訳担当 「巡礼の約束」8日公開

映画「巡礼の約束」のワンシーンⒸGARUDA FILM

 チベット圏出身のソンタルジャ監督(46)が現地語で全編撮影した映画「巡礼の約束」(2018年中国)が2月8日から岩波ホール(東京・神保町)で公開される。少数言語の映画は劇場公開のハードルが高いものの、チベット人映画監督の作品として日本に初上陸した前作に続き、劇場公開が実現した。背景には、作品に魅せられ、字幕翻訳を担当した松尾みゆきさん(44)=京都市伏見区=の奮闘があった。【藤田祐子】

 松尾さんは福岡市出身。東京のテレビ番組制作会社で働いた後、福岡の日本語学校で外国人向けに日本語を教えた。06~11年に中国青海省西寧市で日本語を教え、家族の介護などのため一度帰国した後、語学を学ぶため14年に留学生として再訪する。帰国する直前の15年7月、誘われた上映会が監督の前作「草原の河」だった。

 わだかまりを抱えた父子の家族の物語が胸を打つ。気付けば自分の記憶まで揺さぶられ、言語も民族も超えて感情移入していた。上映後、初対面のソンタルジャ監督に「この映画に日本語をつけていいですか」と直訴する。「西寧で暮らし、チベット文化に関心を深めた歳月はこの監督と出会うためだったのかもと思えた」と振り返る。

 帰国後、チベット宗教文化を研究している夫の三宅伸一郎・大谷大教授(52)の助けも借りて、1年がかりで日本語字幕に取りかかった。翌16年に日本語字幕付きDVDが完成した。

 大きな壁にぶつかったのはここからだ。松尾さんは、字幕のついた映画があれば、後は上映するだけだと思っていたという。

 京都市の自宅からDVDの入ったリュックを背負い、夜行バスで上京した。映画館を訪ねて映画の素晴らしさを訴え、DVDを渡すものの、「まず、企画書を出して」「資料がなくては検討もできないよ」とつれない反応が続く。深夜にネットカフェのパソコンで映画のあらすじをまとめ、監督のプロフィルを訳して、翌日再び映画館を回った。

 それでも良い返答はなく、ここが最後と思って訪ねた岩波ホールで、映画の上映には映画を購入する配給会社や宣伝スタッフが必要なことを教わる。チベットを題材にした中国映画などを手掛けた経験がある配給会社も紹介された。「素人がめちゃくちゃなことをしたのに……。奇跡です」。17年4月から全国35劇場で公開された。

 ソンタルジャ監督は松尾さんとの出会いを「とても感動してくれたことが伝わり、熱意ある人だなと思った」と…

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