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村上春樹をめぐるメモらんだむ

特別なフィッツジェラルド 「写経」や「写本」のように翻訳に向き合う

 「翻訳家・村上春樹」の話をしよう。村上さんにとって翻訳が大切な仕事であることはよく知られているし、本人も「翻訳は趣味」と語り、また「写経」や「写本」にも例えてきた。それほど親しく、日常的な作業であるということだが、実際、自作の執筆と並行して、アメリカ文学を中心とする数多くの作品の翻訳、紹介に積極的に取り組んできた。長編小説にかかりきりになっている時期以外は、ほとんど毎日のように翻訳を続けてきたようだ。村上訳によってアメリカ文学の魅力に目を開かれたという読者も少なくないだろう。

 最近の翻訳の仕事で、まず注目すべきなのは、2019年6月刊行の「ある作家の夕刻――フィッツジェラルド後期作品集」(中央公論新社)である。このコラムの初回で米国のテナーサックス奏者、スタン・ゲッツの村上訳評伝(「スタン・ゲッツ 音楽を生きる」、ドナルド・L・マギン著、新潮社)を取り上げた際、村上さんがゲッツの音楽を米作家、スコット・フィッツジェラルド(1896~1940年)の文章と類比していること…

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大井浩一

1987年入社。東京学芸部編集委員。1996年から東京と大阪の学芸部で主に文芸・論壇を担当。村上春樹さんの取材は97年から続けている。著書に「批評の熱度 体験的吉本隆明論」(勁草書房)、共編書に「2100年へのパラダイム・シフト」(作品社)などがある。

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