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超安全志向の受験戦線 どう乗り切る? 駿台教育研究所・石原部長に聞く

いしはら・けんいち 京大工学部卒業後、駿台予備学校に入職。学生指導、高校営業、カリキュラム編成を担当後、神戸校校舎長、駿台進学情報センター長を経て、2017年4月より現職=2019年9月、中根正義撮影

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 大学入試センター試験が終わり、いよいよ一般入試の受験シーズンが始まった。2021年からセンター試験に代わり、大学入学共通テストが導入されることもあり、浪人を避けようという受験生の安全志向が例年以上に強まっているという。今年の受験戦線はどうなっているのか。駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長に最新の動向を聞いた。【編集委員・中根正義】

 ――今年度で最後となるセンター試験が終わりましたが、新傾向の問題が出題されるなど、平均点も大きく下がりました。

 最後となるセンター試験の志願者は、前年を1万9131人下回る55万7699人となり、2年連続の減少となりました。全志願者に占める現役生の割合は81.1%。前年より0.5ポイントアップしています。

 一方、現役生以外の既卒生は6416人減り、5.7%の減少となりました。これは4年ぶりのことです。18歳人口の減少だけでなく、来年からの入試改革を踏まえ、浪人を避けたいという思いから、推薦やAO入試を受けた受験生が多かったことなどが影響しています。

センター試験の主な科目の平均点=サンデー毎日2月9日号より

 駿台予備学校とベネッセによる自己採点に基づく予想平均点は文系5教科8科目(900点満点)で548点と、前年に比べて22点低くなりました。理系5教科7科目(900点満点)は559点と17点低くなっています。文理ともに13年度以来の大幅ダウンです。センター試験の問題は当初、あまり変わらないと見られていましたが、実際は新しい傾向の問題が多く出題され、それに戸惑う受験生が多かったようです。

 ――応用力に乏しい受験生には、厳しい試験になったということでしょうか。

 例えば、英語では図を基にした計算問題が出るなど、資料を読み解いて答えるという出題がありました。決して難しくなったわけではないのですが、問い方が変わったために解けなかったという受験生が多くいたようです。

 来年から実施される大学入学共通テストでは、「思考力・判断力・表現力」を問う問題が出題されることになりますが、それを先取りする形で、ここ数年、センター試験で新しい傾向の問題が出ていました。今回は、それが多くの科目で実施されました。これまでのセンター試験の対策というと、過去に出題された問題を解くような「パターン学習」が一般的でしたが、今後はしっかり課題文を読み、基本知識をもとに未知の問題を解くような力を磨かなければならないでしょう。身に付けた知識を自分なりに整理して考えるという力が問われることになります。

 ――センター試験の平均点が下がったことで、志願状況にも変化が出ているようです。

 平均点が大きく下がったのは英語、数学、国語といった主要科目です。思うように得点できなかったという成績上位の受験生も少なくありませんでした。そして、法・政治系、経済・経営・商学系といった文系学部を志望する受験生が減っています。理系では農学系や医学部(医学科)、薬学系などが大きく減っています。

 個別の大学の志望動向を見ていくと、東大や京大、北海道大、東北大、名古屋大、大阪大、九州大、東京工業大、一橋大といった難関国立大の志望者はそれほど減っていませんが、これらの大学の中でも、比較的難易度が低い学部・学科に人気が集まる傾向があります。

 この次のクラスの筑波大や金沢大、広島大といった大学の志望者は減少傾向です。地方国立大や公立大は安全志向から志願者が増加傾向の大学も多く、特に平均点ダウンが目立った数学を課さないという公立大への集中が見られます。

 ――私立大の動向はいかがですか。

 受験生の安全志向は私立大志望者でより顕著に表れています。今年は推薦やAOで早々に進学先を決めた受験生が多くおり、その影響で、14年ぶりに私立大の志願総数が減るのではないかとみられているほどです。

 昨年の私立大入試も受験生の間に、強く安全志向が働きました。その影響で難関大の志願者が減り、中堅以下の大学の志願者が激増しました。そうしたことから、今年の入試では浪人生が1割近く減っています。今の高3生の数は前年とほとんど変わりません。そして、推薦やAOで進学先を決めた受験生が多いということもあり、「間口」が広い入試になるのは確実でしょう。

 まだ、一般入試は始まったばかりですが、各大学の志願動向を見てみると、早稲田大、慶応大、上智大、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)、関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)といった大学は軒並み志願者を減らしそうです。日東駒専(日本大、東洋大、駒沢大、専修大)や産近甲龍(京都産業大、近畿大、甲南大、龍谷大)といった中堅大も一部を除き志願者を減らし、それより下位の大学で志望者が増えています。

 さらに、上位層がより安全な併願作戦を立てていることも見てとれます。MARCHクラスを受験する層が大東亜帝国(大東文化大、東海大、亜細亜大、帝京大、国士舘大)クラスまでを視野に併願しているケースが見られます。関西でも、関関同立クラスを受験する層が摂神追桃(摂南大、神戸学院大、追手門学院、桃山学院大)クラスを考えています。とにかく浪人は避けたいという受験生の意識の表れでしょうか。

 ――最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

 今年のセンター試験で特徴的だったことは、浪人生が減っていることと、出題傾向の変化から受験生が解答に苦労し、得点率が8割を超えるような高得点層も減っています。それだけに、ある程度の得点が取れた受験生は第1志望をしっかり維持し、強気の出願をしてほしいと思います。そして、ぎりぎりまで第1志望校合格を目指して努力をすれば、他大学の合格にもつながります。

 一方、中堅以下の大学は厳しい入試になっています。安易に志望校を下げても、決して油断はできません。「入れる大学・学部」を目指すのではなく、「入りたい大学・学部」を目指し、最後までモチベーションを持ち続けてほしいと思います。

 最後になりますが、今年は新型肺炎の拡大やインフルエンザの流行などが例年とは違った形で報道されています。手洗いやうがいを励行し、睡眠時間を確実にとり、健康管理に十分に配慮して大学合格を勝ち取ってください。

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