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的川博士の銀河教室

的川博士の銀河教室 583 スペースX、緊急脱出試験をクリア

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米国が4月に有人飛行再開か

 1月19日、米スペースX社の新型有人宇宙船「クルードラゴン」が無人で打ち上げられ(写真)、直後にロケットから緊急(きんきゅう)脱出(だっしゅつ)させるテスト(図1)に成功しました。

 すでに「クルードラゴン」は、打ち上げ後国際宇宙ステーション(ISS)に接近してドッキングする無人のテスト飛行には成功しています。実際に宇宙飛行士が搭乗(とうじょう)する場合は、打ち上げに異常が生じた際に、事故を起こしたロケットから飛行士が無事に切(き)り離(はな)されて脱出するテストが必要で、このテストが最後の大きなマイルストーン(節目)になっていたのです。

 米国の有人宇宙飛行を担っていたスペースシャトルが11年に引退して以降、欧米(おうべい)や日本の飛行士の宇宙への旅立ちは、すべてロシアのソユーズに頼(たよ)っていました。その後米国は、月や火星への飛行は国が担当して新たに開発することにし、ISSなどの地球周回軌道(きどう)への有人飛行は民間企業(みんかんきぎょう)に任せるという戦略を採用しました。現在その役目を担おうと激しく競争しているのが、スペースX社の宇宙船「クルードラゴン」と、ボーイング社の宇宙船「スターライナー」です。

 さまざまな障害を乗(の)り越(こ)えながら両社とも頑張(がんば)っていますが、「クルードラゴン」は、NASAが民間宇宙船に要求している最も重要なマイルストーンとみられていたISSへの無人の飛行テストを昨年3月に成功させ、一歩リードしたと見られていました。ところが、続いて4月に「クルードラゴン」が火災事故によって損傷し、いささか行方が心配されました。

 昨年12月、一方の「スターライナー」も、無人の飛行試験(図2)を行い、重要ないくつかのテストには成功したものの、エンジン噴射(ふんしゃ)のタイミングが実際の予定と異なっていたため推進剤(ざい)を予定以上に消費してしまい、目標としたISSへのドッキングを果たすことができませんでした。

 スペースX社は、4月に損傷した「クルードラゴン」はきちんと修復し終え、今回のテストで、飛行中のロケットに最大の力がかかったタイミング(マックスQ)でも、宇宙飛行士を安全に脱出させる能力を実証したことで、一歩リードしたかたちとなりました。もちろん、今回の飛行のデータを詳(くわ)しく解析(かいせき)し、また2月に行われるパラシュート試験の結果も慎重(しんちょう)に評価する必要がありますが、すべて順調に進めば、4月には、宇宙飛行士の登場するフライトが実現する可能性があると見られています。9年ぶりに米国本土から宇宙飛行士が飛び立てるかどうか。米国の宇宙エンジニアたちの必死の闘(たたか)いが続きます。


的川泰宣(まとがわやすのり)さん

 長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


日本宇宙少年団(YAC)

 年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac−j.or.jp


 「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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