台風19号 掘削や遊水池設置 千曲川緊急治水対策 北陸整備局 /長野

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷

 台風19号による甚大な被害を受け、国土交通省北陸地方整備局は31日、千曲川で遊水池の設置や川幅が狭まる部分の河道掘削などを盛り込んだ緊急治水対策を発表した。洪水時の水量調整や流下能力の強化が狙い。新潟県も含めた信濃川水系の総事業費は1227億円で、うち千曲川流域が9割弱を占める。

 緊急治水対策案は、河川▽流域▽まちづくり、ソフト――の3本柱で構成。河川対策では、川幅が狭い中野市立ケ花(120~450メートル)や飯山市戸狩(150~300メートル)の河道掘削を行う予定。中野市立ケ花は台風19号で堤防が決壊した長野市穂保の約7キロ下流に位置する。専門家からは、穂保の川幅は約1キロで下流の川幅と差がある地形のため、水が逆流する「遡上(そじょう)流」が入り込みやすかったことが決壊の一因になったと指摘されていた。

 河道掘削で下流の水量が増えるため、氾濫防止策として遊水池も新設し、上下流全体のバランスを保つ。千曲川流域の長野市や中野市、佐久市などの周辺4カ所が候補地。農地を利用して洪水時に水が流れ込むようにし、一時的に洪水を貯留して水量を低減させる。

 流域対策では、市町村と連携し、災害復旧用資機材や車両を備えた堤防沿いの防災拠点「河川防災ステーション」を整備する。平常時はコミュニティースペースや防災学習などに活用。災害時には、現地対策本部▽ポンプ車▽ヘリポート▽土砂保管――などに転用する。長野市が整備する意向を示している。

 北陸地方整備局は今後、被災地域は5年間、それ以外は10年間で緊急治水対策を実施する。【島袋太輔】

あわせて読みたい

ニュース特集