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社説

海自護衛艦が中東へ 「一般化」してはならない

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 海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が中東海域へ向け、きょう横須賀を出港する。今月下旬にオマーン湾などで情報収集活動を始める。

 武装した実力部隊の海外派遣という重い政治判断だ。国会の徹底した議論を経るべきなのに、政府は昨年12月に閣議決定し、1月10日に河野太郎防衛相が派遣命令を出した。

 ようやく通常国会が開会し、与野党の議論が本格化してきたところである。事前に決めた予定ありきで派遣を進める政府の対応は問題だ。

 この間、年明けに米国がイラン司令官を殺害し、イラン側がイラクの米軍駐留基地にミサイル攻撃を行った。さらなる武力衝突に至ってはいないが、情勢は緊迫したままだ。

 米・イランの紛争に巻き込まれる危険はないのか。「武力の行使が行われている状況ではない」との現状認識を示すだけでは不十分だ。政府は今後の情勢が変化するリスクも含め国会で丁寧に説明すべきだ。

 また、防衛相の判断で部隊を動かせる「調査・研究」が法的根拠でいいのか。この点についても議論が尽くされたとは言い難い。

 公明党は今回、特例として容認したものの、国会審議の中で、調査・研究名目の自衛隊派遣を「一般化」しないことの確認を求めた。

 安倍晋三首相は「一般化することは毛頭あり得ない」と応じつつ「総合的な勘案の中において慎重に判断する」と付け加えた。

 これではなお懸念が残る。そのつど判断すれば一般化には当たらないとの意味にも受け取れるからだ。

 原油の9割を中東に依存する日本として、タンカー航路の警戒監視に役割を果たす意義は否定しない。

 ただし、自衛隊は憲法上、海外での武力行使が禁じられ、危険な地域・海域への派遣には法的な制約がある。いつでもどこでも調査・研究で派遣できることになれば、なし崩し的に「普通の軍隊」に近づく。

 シビリアンコントロール(文民統制)の面でも問題は大きい。そのため公明党は閣議決定手続きとその国会報告を派遣容認の条件とした。

 しかし、菅義偉官房長官は閣議決定文書を国会議員に配布したことをもって「報告した」とみなす考えを示している。国会に対する政府の姿勢は不誠実と言うほかない。

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