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アートの扉

上村松園 春のよそをひ エロスの中に気高さ

山種美術館

 かんざしに手を添えたうつむき加減の若い女性から、えもいわれぬ色気が立ち上る。ふわりとした髪の生え際、桃色がほんのり彩る頰と指先は繊細そのもの。切れの長い目の線はすらりと格調高い。

 静謐(せいひつ)な美の香る彼女の心を、春の風はくすぐるのか。胸元は扇で隠されてはいるものの、少し先を見据えた視線は魅惑的。桜模様のじゅばんや唇の赤は、パッと散った火花のように画面に映え、秘め切れぬ思いをあらわにする。「春のよそをひ」と題された上村松園の一枚は、今まさに咲かんとする恋のうごめきを写し取ったかのようだ。

 「私の美人画は、単にきれいな女の人を写実的に描くのではなく、写実は写実で重んじながらも、女性の美に対する理想やあこがれを描き出したい――という気持ちから、それを描いて来たのである」。松園は随筆集「青眉抄(せいびしょう)」(講談社文庫)にこう記した。

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