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社説

福島原発の処理水処分 地元との対話が不可欠だ

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 東京電力福島第1原発に保管されている汚染処理水の処分について、経済産業省の小委員会が「海洋放出または大気中への放出が現実的」との結論をまとめた。

 福島原発1~3号機の原子炉建屋内では、溶け落ちた「燃料デブリ」によって汚染水が1日170トン生じる。専用の装置で処理した後タンクに保管しているが、容量が限界に近づいている。東電によれば、残された時間は2年半だ。

 処理水の処分は、燃料デブリの取り出しと同様、廃炉に向けた重要な作業だ。小委は複数の案について技術、費用、規制などの観点から3年にわたって検討し、国内外で実績のある2案に絞り込んだ。

 結論を受けて政府は今後、処分方法や開始時期などを決めなければならない。

 小委は、処分の前に処理水を再度処理して、その安全性を第三者が検証することや、情報公開の徹底を求めた。処理水は現在100万トンを超えるが、8割は浄化が不十分だ。再処理は当然である。

 その上で慎重に取り組まなければならないのは、風評被害の問題だ。

 再処理をしても、放射性トリチウム(三重水素)だけは残る。経産省の試算では、保管されている全量を1年間で放出すると仮定した場合、トリチウムによる被ばくは自然界の放射線による被ばくの1000分の1以下だという。

 だが、この問題の受け止め方は一様でない。理屈ばかりを振りかざして処分を急げば、新たな風評被害を生むだけだ。

 福島の農水産業や観光業は、事故による汚染に加えて深刻な風評被害にも見舞われた。県産米の全量全袋検査や厳しい独自基準による検査など、地道な努力の積み重ねがようやく実を結びつつある。

 それでも、売り上げや漁獲量は事故前の水準にはほど遠い。処分に当たっては、失敗を繰り返さない注意が必要だ。国内の消費者はもちろん、外国に不正確な情報が伝わらないような働きかけも課題となる。

 もとより政府は、方針を決める前に関係者の不安や意見、要望を謙虚に受け止める責任がある。説明ではなく対話を通じて、多くの人々が納得できる道を模索すべきだ。

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