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たたなづく

まなざしをどこに向けるか=河瀬直美

スイス・ローザンヌのIOC本部前で=河瀬直美さん提供

 2020になった。56年ぶり自国開催となる夏季オリンピックである。一昨年秋に公式記録映画の監督に就任してからあっという間に月日は流れ、開会式まで残すところ半年を切った。

 去年の7月24日。イベントで国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が来日するところからカメラを回している。現在は制作チームと連携して情報収集の傍ら、各界の有識者とブレーンストーミングを1カ月に1度ほど開催しながら、自分の中にある「オリンピック公式記録映画」の根源的テーマを深掘りしている。なぜ人類はスポーツをするのか。なぜ人類は争うのか。なぜ人類は平和への祈りをささげるのか。違う国で生まれ育ち、違った価値観の中で生きている人々が、ある時期にある特定の場所に集結し、スポーツを通して「争う」のではなく「競い合う」形。それを映像で表現することの喜びと難しさ。

 前回東京大会の記録映画で総監督を務めた巨匠・市川崑監督は56年前、その脚本の中で冒頭にこう書いている。「この映画は純然たる記録であって、しかも単なる記録にとどめてはならない」。記録映画、すなわちドキュメンタリー映画に脚本があるというのも驚きだが、「記録」にとどめてはいけないという意味を考える。それはかねて自身の作品制作でも深く考える事柄であったので、興味深い。

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