修復困難な収蔵品も多数 台風19号で水没の川崎市民ミュージアム、再開の見込み立たず

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収蔵品を運び出す職員ら=川崎市提供 拡大
収蔵品を運び出す職員ら=川崎市提供

 昨年10月の台風19号で収蔵庫が水没した川崎市民ミュージアム(中原区)について、市は、収蔵品の33%を搬出したと発表した。漫画や映画の収集が特徴的な博物館・美術館の複合施設だが、既に修復困難な収蔵品も多数見つかっており、再開の見込みは立たない。【市村一夫】

 市民文化局によると、地下に九つある収蔵庫の全てが浸水。収蔵品約26万点のうち約23万点が保管されていた。修復困難なものは現段階で、写真と油彩画、映画フィルムが若干数、埋蔵文化財の発掘調査報告書約1000点とされている。例えば、缶に入った映画フィルムは蓋(ふた)を開けると原形をとどめない状態で、絵の体裁をとどめていない絵画もあった。また、集計には入っていないが、水に溶けた土器なども見つかっているという。

 搬出を終えた収蔵品は1月25日現在で約7万5200点。借用作品や絵画などを収めた第5収蔵庫は搬出を終えた一方、かびが発生するなどして、1月後半にようやく搬出が始まった収蔵庫もある。

収蔵庫内で水につかった漫画雑誌。水を吸って膨らみ書棚を壊したと見られる=川崎市提供 拡大
収蔵庫内で水につかった漫画雑誌。水を吸って膨らみ書棚を壊したと見られる=川崎市提供

 搬出された収蔵品のうち、紙資料はかびや腐食を防ぐため、市内の冷凍倉庫などに運んでいる。他の収蔵品は応急処置をしながら敷地内などに一時保管する。年度内に搬出を終え、その後の修復作業につなげていく予定。被害額は、電気設備の復旧費なども含め「72億円以上」とされてきたが、収蔵品全てを検証した結果ではなく、今後さらに膨らむ可能性がある。

 修復は長期にわたる見込みで、完了のめどは立っていない。築30年以上の建物についても劣化調査を進め、新年度以降、調査結果を基に館のあり方も検討することになる。

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