実力を数値化すると現トップは一力八段 芝野名人も急成長 本因坊文裕は?
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2019年の囲碁界は、17年に7大タイトルの再制覇を果たした本因坊文裕(30)=井山裕太九段=が3冠まで後退。代わって、10代初の7大タイトルを獲得した芝野虎丸名人(20)が2冠に躍進し、文裕より下の世代の活躍が目立った。各棋士の実力をレーティングという手法で数値化してみると、1強を誇った文裕は20代棋士3人にのみ込まれ、激しいデッドヒートを繰り広げている姿が浮かび上がった。【丸山進】
20代が急成長 トップは一力八段
レーティングは、チェスなど1対1の競技で使われているほか、囲碁や将棋などのネット対局でも広く使われている。その中でも代表的な「イロレーティング」は、勝った相手が格上であるほど大きく上がり、逆に負けた相手が格下であるほど大きく下がる。この手法を使い、10年1月の全棋士のレーティングを初期値1500からスタートし、19年末までの国内公式戦のデータで算出した。その結果は、現役最強棋士は文裕ではなく、一力遼八段(22)だった。
以下も含めると
①一力遼八段(22) レーティング2102
②芝野虎丸名人(20) 同2060
③本因坊文裕(30) 同2055
④許家元八段(22) 同2031
という順になり、20代棋士3人が文裕に追いついていた。
一力は、18年後半からレーティングを上げて独走状態の文裕を猛追。19年4月の碁聖戦本戦準決勝で文裕を降した時点でトップに立った。19年は7大タイトル戦に一度も登場できなかったが、年間勝率7割7分1厘は全棋士中トップ。NHK杯と竜星戦で優勝するなどコンスタントな勝ちっぷりで2位以下に水をあけた。
2位の芝野は、本因坊戦こそプレーオフの末に挑戦権獲得を逃したが、挑戦者となった名人戦と王座戦では奪取に成功した。対局数と勝利数は全棋士で一番多く、レーティングの昨年1年間の伸び幅は130で、棋士の中で最も大きかった。
「伸び幅130」とい…
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