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日本文化をハザマで考える

第19回 一流の翻訳が持つ影響力

夏目漱石

 真に「一流の傑作」といえ、それ自体がアイデンティティーを持つ翻訳というのはめったにない。日本文学においては、文学作品の翻訳は数多く、そのほとんどが使えるものだが、たまにはひどいのもある。

 しかし「傑作」にはめったにお目にかかれない。そうなるためには、翻訳そのものが際立った特性とスタイル、それに影響力を持っていなければならない。必ずしも正確な翻訳である必要はないが、他の誰にもまねできないように、元の作品を違う言語で再現しなければならない。

 究極の一流翻訳は、英国人のアーサー・ウェイリーによる1920年代の「源氏物語」の翻訳だろう。ウェイリーはジェーン・オースティンのような19世紀のビクトリア時代の作家の作品を読んでいた。その影響を受け、源氏物語を自由で詩的に訳した。そのおかげで、バージニア・ウルフやE・M・フォスターのような英国の有名作家に好まれた。

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ダミアン・フラナガン

ダミアン・フラナガン(Damian Flanagan) 1969年英国生まれ。作家・評論家。ケンブリッジ大在学中の89~90年、東京と京都に留学。93~99年に神戸大で研究活動。日本文学の修士課程、博士課程を経て、2000年に博士号取得。現在、兵庫県西宮市とマンチェスターに住まいを持って著作活動している。著書に「世界文学のスーパースター夏目漱石」。

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