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新聞記者、銃をとる

この連載で狩猟の醍醐味(だいごみ)を味わおうとか、ましてハンターの英知を学ぼうと考えている人には、期待を裏切ること間違いない。しかし、ハンターの世界を少しのぞいてみたい、悪戦苦闘のエピソードを楽しみたいという人にはぜひ、お付き合いをお願いしたい。

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新米猟師奮闘記/27 でかい雄ジカの走力、迫力 /滋賀

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作画=マメイケダ
作画=マメイケダ

 山でシカを囲い込み、犬を放って、逃げてきたところを撃つ「巻き狩り」で、出会うのは大体、雌ジカである。雄ジカに出会うことはあまりない。雄と雌は普段、別行動を取り、雌ジカが群れを成すのに対し、雄ジカは単独で行動していることが多いのだ。私たちが狩猟をしているところでは個体数も雌より雄は少ないに違いない。

 そんな雄ジカ、それもとびきり大きな雄ジカに、1月19日の狩猟で出会った。私が待っていたのは、山のふもとで、前方の斜面は、目が届く稜線(りょうせん)までが約100メートル、左右は200メートルほどが視界に入る杉林の一角だった。シカが現れ、目の前を横断するなら、時間にして20~30秒間。その間に、シカが走ってきたことに気づき、銃を構え、狙いを定め、引き金を引くところまでの動作を正確にこなさないと、シカを捕らえることはできない。

 その日は早くから、犬がほえた。犬と共にシカを追い立てる「勢子(せこ)」が山に入り、犬を放した途端、2、3匹の犬が「ウォ、ウォー」と声を上げた。しかしまだ、声は遠い。しばらくすると、鳴き声が遠くなり、しだいに聞こえなくなった。それから待つこと30分。再び犬の声が左手の方から聞こえ始めた。シカを追う、犬の興奮がその響きの中にある。声の来る左手前方に注意を向ける。犬はまだ、稜線の向こうにいる。しかし、…

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