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社説

新型肺炎の経済リスク 中国の景気悪化に備えを

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 中国発の新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が世界経済のリスク要因となってきた。中国経済の悪化懸念から日米の株価が大幅安となり、春節(旧正月)明けのきのうの中国・上海株式市場も急落した。

 有効な治療薬が見つからない中、中国政府は感染拡大防止へ発生源の湖北省武漢市を中心に厳しい移動制限を敷く。長引けば、観光など国内総生産(GDP)の約6割を占める消費を冷え込ませる懸念がある

 中国は2003年にも重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染拡大で、成長率が一時的に2%程度落ち込むなど経済に打撃を受けた。ただ、当時は中国経済が世界のGDPに占める割合は4%程度だった。

 世界第2位の経済大国となった今はその比重が16%程度と格段に高い。年間の新車販売台数が世界一で、製造業やハイテク産業のサプライチェーン(供給網)の中核も担う中国経済が落ち込んだ場合の悪影響は03年の比ではない。

 米中貿易摩擦の影響で中国の昨年の実質成長率は6・1%と、29年ぶりの低水準だった。年明けに米国との貿易交渉が第1段階の合意に達したため、中国経済の一段の落ち込みは回避されると期待されていた。

 新型肺炎の中国経済への打撃がどれほどかは感染の終息時期次第だ。ただ、大和総研によると、移動規制が当面続いて観光など関連消費が10%程度減ると想定すれば、1~3月期の成長率が4%程度に低下する可能性があるという。

 自動車をはじめ製造業の一大集積地である武漢の「封鎖」で、現地工場を持つホンダなど国外メーカーは生産再開が見通せない状況だ。新型肺炎はモノやサービスの需給の両面で世界の中心である中国の経済機能をマヒさせる恐れがある。

 日本への影響もひときわ深刻だ。日中の貿易額はSARSが流行した03年の2倍以上の三十数兆円に拡大し、最大の貿易相手国だ。

 さらに、昨年の訪日中国人数は03年の20倍以上の約959万人にのぼり、日本の観光産業の成長をけん引する役割も果たしている。

 経済の対中依存度が高い日本は、今後の新型肺炎の感染動向を注視しつつ、中国の景気悪化に備えた機敏な対応策を検討すべきだ。

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