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東京へ ともに歩む

毎日新聞

2016年リオデジャネイロ・パラリンピック女子マラソン(視覚障害)でガイドロープを手に道下美里選手(右)と2位でゴールするガイドランナーの堀内規生さん=同年9月18日撮影

オリパラこぼれ話

視覚障害選手の活躍 支えるサポーター

 パラリンピック大会に出場する視覚障害者には選手の目となって支えるサポーターの存在が欠かせない。

     「(ゴールまで)5メートル、45度」。アイマスクを着用した全盲4人と目の見えるゴールキーパーからなる5人制サッカー(ブラインドサッカー)では、相手チームのゴール裏に立って「コーラー」と呼ばれるチームスタッフが声を出して指示する。シュートする選手に向かってゴールの位置を的確に伝えるのだ。自陣のゴール付近はゴールキーパーが声で守備の位置を指示。中盤は監督が攻守を指揮する。選手は声を聞いて場面をイメージしている。

    2012年ロンドン・パラリンピックで視覚障害選手(左)と一緒に自転車のペダルをこぐパイロット=同年9月1日撮影

     高速でコースを駆け抜ける自転車競技。二人乗りのタンデム自転車の前席には障害を持たない「パイロット」が乗車してハンドル操作やコース取りなどを行う。脚力のある競輪選手らが担うことが多く、後ろには「ストーカー(stoker)]として視覚障害のある選手が乗る。ストーカーは機関車などに「まき」をくべる人を指すが、タンデムではパワーを自転車に伝えて走行する意味を込めているという。「つきまとい」の意味のストーカーの英語のつづりはstalkerで、別の言葉だ。また、選手がメダルを獲得したらパイロットにも贈られる。

     2016年リオデジャネイロ・パラリンピックの女子タンデム個人ロードタイムトライアル(視覚障害)で鹿沼由理恵選手が、競輪選手でもあるパイロットの田中まい選手とともに銀メダルを獲得した。スタート直前にギアが変わらない不具合に気付いたが「苦しまなければ絶対にメダルは取れない」(田中選手)と二人は覚悟を決め一番重いギアで30キロをこぎ続けたという。

    視覚障害者のマラソン選手とガイドランナーはガイドロープを手に走る

     陸上競技のマラソンで選手とともに42.195キロを走るのは「ガイドランナー」という伴走者だ。元マラソン選手や市民ランナーが務め、競技中は選手と一緒にガイドロープと呼ばれるひもを持って走る。走りやすいように腕の振り方や歩幅を合わせてスピードも調整。タイムやペースを伝えながらコースを案内するなどの役目をこなす。ガイドランナーは1選手につき2人まで登録でき、交代できる。選手がメダルを獲得した場合、ガイドランナーは1人だけ登録した時に限り選手と同じメダルを受け取れる。

     リオデジャネイロ・パラリンピックでは、道下美里選手が銀メダルに輝いた。ガイドランナーは青山由佳さんと堀内規生さんで、後半を務めた堀内さんと、万歳しながらゴールした。道下選手は今年夏の東京パラリンピックの出場が内定しており、今月2日の別府大分毎日マラソン視覚障害選手の部女子で自身の持つ世界記録を2分近く縮める2時間54分22秒で2連覇。ガイドランナーの青山さん、志田淳さんと息の合った走りを見せた。

     他にもトライアスロンや水泳などの競技でも視覚障害の選手をサポーターが支援している。

     東京パラリンピックは8月25日から9月6日まで22競技を実施する。うち9競技に視覚障害者が出場する。サポーターと共に戦う姿は多くの観客を魅了する。【関根浩一】

    関根浩一

    東京本社オリンピック・パラリンピック室委員。1985年入社。東京本社事業本部、千葉支局、成田支局、情報編成総センターなどを経て、2017年4月からオリンピック・パラリンピック室。サッカー観戦が趣味でこれまで多くの日本代表戦に足を運んでいる。最近はスコッチのソーダ割りを飲みながらボサノバを聴くのが楽しみ。