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検証

新型肺炎、正しく対処

多数のベッドが配置され、臨時病院に姿を変えた中国・武漢の複合施設=4日、AP

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 肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染が急速に広がりを見せている。どうしてこれほど拡大したのか、予防するにはどうしたらいいのか。新型肺炎の背景や対策、医療の現状などをまとめた。【須田桃子、柳楽未来、五十嵐和大】

SARSも仲間

 Q 新型肺炎の現状は。

 A 原因は新型のコロナウイルスだ。2019年末に中国湖北省の武漢市で、肺炎患者の多発が発表された。20年1月半ばには日本を含む中国以外の国々でも報告されるようになった。1月下旬から急激に感染者数が増え、中国本土だけで2万人を超えている。世界保健機関(WHO)の2月3日現在の集計では、中国以外の感染者は全体の約0・9%。死亡者の多くは中高年で、持病がある人が多い模様だ。

 Q 以前もコロナウイルスによる肺炎が流行した。

 A 02~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や、12年に確認され、中東や韓国で感染が広がった中東呼吸器症候群(MERS)の原因も、コロナウイルスの仲間だった。このウイルスは表面にたくさんの突起が付いた球形で、さまざまな動物に感染する。人に感染するのは今回を含め7種類あるが、重症化するのはSARS、MERSと今回のウイルスの3種類。

 Q 今回のウイルスの感染源は分かっているのか?

 A 武漢市で確認された当初の患者の多くは、食用の動物を扱う市場で感染したとみられる。ゲノム(全遺伝情報)の解析から、コウモリが保有するコロナウイルスとほぼ同じゲノムを持つと判明。コウモリ起源で他の動物を媒介して人に感染した可能性がある。

強制入院、可能に

 Q なぜ感染者がこんなに増えたのか?

 A 武漢で感染者が増え始めた1月に、中国で旧正月の春節(1月25日)の大型連休を迎えたことが原因の一つとされる。春節前後には通常、多くの人が国内外へ移動しており、このため感染が広がったとみられる。今回は感染しても発熱やせきなどの症状の出ない人や軽症の人がいる。普通に生活できるので、ウイルスを体外に出して周囲の人を感染させてしまう可能性も指摘されている。

 Q 日本の対策は?

 A 政府は2月1日、新型コロナウイルスによる肺炎などの病気を、感染症法の「指定感染症」と、検疫法上の「検疫感染症」に指定した。指定感染症への指定により、知事が感染者に入院を勧告し、従わないと強制的な入院が可能になる。検疫感染症の指定では、港や空港の検疫所などで感染が疑われる人に検査や診察ができるようになり、従わない場合は罰則がある。ただ、どちらも発熱など症状がある人が対象で、感染していても無症状の人を把握するのはとても難しい。

液体せっけんたっぷり

 Q 予防法は?

 A 風邪やインフルエンザと同様、手洗いや消毒などが有効だ。手洗いは、液体せっけんをたっぷり使い、爪の間や手の甲、手首まで洗うと効果的。アルコール成分を含む消毒薬を手や指にすり込むと、ウイルス除去の効果がさらに高まる。

 Q マスクもした方がいいのか。

 A 飛沫(ひまつ)で感染者が周囲にうつすのを防ぐ意義はありそうだ。予防効果ははっきりしていない。

 Q 自分や家族の感染が心配な場合、どうすればいいのか。

 A 政府は、受診希望者の相談を受け付ける「帰国者・接触者相談センター」や、感染が疑われる患者を専門に治療する「帰国者・接触者外来」の設置を、各自治体に依頼した。心配な人は近く設置される相談センターなどで相談し、この専門外来で受診できるようになる。

 Q 感染したかはどうやって分かるのか?

 A たんや、鼻や喉から取った検体で感染の有無を調べる。現在は検査機器が整った検査機関でしか確認できないが、政府は、多くの病院で簡単に診断できる検査キットやワクチンの開発を急いでいる。

 Q 治療法はあるか。

 A 治療薬はなく、発熱などを抑える対症療法を続けながら、患者自身が免疫を獲得するまで安静にするしかなさそうだ。厚生労働省は今後、熱が下がるなど症状がなくなってから48時間後と、さらに48時間後の計2回ウイルス検査をし、2回とも陰性なら退院を認める方針だ。一方、タイでは重症患者にインフルエンザ治療薬と抗エイズウイルス(HIV)薬を、米国でも抗エボラウイルス薬を投与しそれぞれ治癒したという報告があり、注目されている。

潜伏期間中も感染力 北大教授「封じ込め困難」

 北海道大の西浦博教授(理論疫学)は4日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で記者会見し、新型コロナウイルスの感染者の2人に1人が、発熱などの症状が出ていない潜伏期間中の感染者からうつされていたとする研究結果を発表した。一方、実際の致死率は0・3~0・6%程度にとどまるとも分析。「過度な封じ込め対策ではなく、一部の重症化した人に対する医療態勢の整備に注力すべきだ」と強調した。

 西浦教授らの研究グループは、中国やベトナムなど各国が発表した感染者計52人のデータを基に、ある患者が発症後、うつされた別の患者が発症するまでの期間から解析した。

 日本は新型ウイルスを「指定感染症」に指定し、都道府県知事が症状がある感染者に入院勧告できるようになるなど、感染者の封じ込め対策を進めている。ただ、発症前の感染者も人にうつすという研究成果が出たことで、西浦教授は「封じ込めは難しく、流行は避けられない」とみている。

 世界保健機関(WHO)は、新型ウイルスの致死率を2%程度としている。研究グループが中国・武漢から日本に帰国した人の感染割合などから推計すると、確認できている感染者は全体の9%程度にとどまっているとの結果が出た。それを利用して計算し直したところ、全感染者の致死率は0・3~0・6%で、2002~03年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の9・6%よりずっと低かった。

 西浦教授は「健康な成人であれば、適切な治療を受ければ亡くなる人はほぼいないと考えられる致死率だ。基礎疾患があるなどリスクの高い人への対応が必要になってくる」と話した。【柳楽未来】

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