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社説

厚底靴の条件付き認可 開発と競技の公正両立を

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 陸上長距離の記録が飛躍的に伸びると評判になっている厚底シューズについて、ワールドアスレチックス(世界陸連)は条件付きで使用を認めるルールを発表した。

 全面禁止なら混乱は必至だったが、従来の市販品は使用できることになった。東京五輪まで半年を切った今、現実的な判断といえるだろう。

 注目を集めているのは、ナイキ社のシューズ「ヴェイパーフライ」シリーズだ。分厚い靴底はクッション性があり、衝撃吸収力にすぐれている。その中にはカーボンファイバー(炭素繊維)のプレートが埋め込まれ、これが反発力を生む構造だ。

 長距離種目では、靴底の厚さや反発力について明確な規則がなかった。新規則では厚さ40ミリ以下、埋め込むプレートは1枚までなどの条件が付いた。違反が疑われる場合は審判が選手に靴の提出を求める。

 他の大手メーカーも新製品の開発を進めているが、用具の競争は一定の基準に沿って行われるべきだ。

 用具をめぐっては、過去にも競泳の高速水着やスピードスケートのスラップスケート、ジャンプのスキー板の長さなどが議論を呼んだ。

 義足のランナーが健常者の大会に出ようとして却下された例もある。義足の推進力が有利に働くとの理由だが、スポーツ仲裁裁判所でこの判断は退けられ、出場が認められた。

 用具の「助力」の是非に加え、「公平性」の視点も必要だ。今ではトップ選手の多くが用具メーカーとスポンサー契約を結んでいる。このため、好記録を期待できる別の企業の製品を使いたくても、契約違反になって使えない問題が起きている。

 選手の健康や安全に用具の発展が悪影響を及ぼすこともある。高校野球などでは金属バットの性能が高まって打者が優位となり、投手の負担が増大している。結果的に投球数が多くなり、肩肘の負傷につながる。このため、「飛ばないバット」の導入を求める声も一部から出ている。

 用具の進化はこれからも続く。しかし、スポーツの醍醐味(だいごみ)は、人間同士の力のぶつかり合いだ。

 勝敗が用具の良しあしで決まってしまうようでは、競技スポーツのあるべき姿とはいえまい。技術開発と競技の公正さの両立を目指し、基準は常に検討されるべきだろう。

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