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 雪の上に落ちていたのは?

 思い出そうとするが、それが絵で見た光景だったのか、あるいは小説の一場面だったのか、雪に道を見失ったかのように記憶は身動きがとれなくなっていた。

 かりに絵のなかでのことだとしても、画家が小説の心惹(ひ)かれた一場面から着想を得て描いたということも考えられる。実際の風景をそのまま描くのではなくて、自分の撮った写真や雑誌などから切り抜いた写真をもとに、過去の絵画の記憶や実際の風景などを重ねあわせながら絵を描く画家もいる。そこに読書の記憶まで混じり込む。雪景色がどこにあるのか特定するのはさらに困難になる。

 では、小説のなかで記述された風景だとしたら? その可能性もまた戸惑いをもたらす。小説家は語り手か登場人物の口を通して一枚の絵を描写する。だが虚構の世界の話なのだ。そもそもその絵自体が言葉でしか存在しないとしたら? 現存する絵のタイトルや画家の名前が小説のなかに言及されていたかどうかばかりか、肝心の小説のタイトルや作者名すら思い出せない始末なのだ。

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