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社説

トランプ氏に無罪評決 外交ゆがめた責任消えぬ

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 トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる弾劾裁判で上院は、権力乱用と議会妨害で下院から訴追されたトランプ氏に無罪の評決をした。

 与党の共和党から1人が権力乱用について有罪票を投じたが、罷免に必要な数には及ばなかった。

 11月の大統領選に向けて野党の民主党には政権にダメージを与えたいとの思惑もあった。共和党が多数を占める中で無罪は想定通りだった。

 ただし、罷免されなかったからといって、大統領の威信が保たれたと思うのは早計だ。

 弾劾の核心は、大統領選を有利に運ぼうと政敵であるバイデン前副大統領の疑惑を調べるよう外国政府に要請したことだ。外交をゆがめた責任が消えるわけではない。

 弾劾裁判で浮き彫りになったのは米政治の分断だ。共和党は証人の招致を認めなかった。

 ボルトン前大統領補佐官が出版予定の回想録によれば、トランプ氏はウクライナへの軍事支援の再開を取引条件にしようとしたという。

 軍事支援の問題とバイデン氏の調査要請は別だったというトランプ氏の主張と矛盾し、共和党からもボルトン氏の招致を求める声が出た。

 招致が否決されたのは、長期化をおそれた共和党指導部の意向が強く働いた結果という。真相の解明よりも党の利益を優先させた。

 対立の根深さは、与野党で妥協を探る動きがなかったことにも表れている。従来のような懸け橋となる中間派議員の不在を物語った。

 トランプ氏は「勝利」宣言したが、共和党内からもトランプ氏の外交姿勢は「不適切だった」という批判が少なからずあった。

 トランプ氏の強圧的な外交は相手を問わない。中国に課した一方的な高関税政策を同盟国の日本や韓国、欧州諸国にも向け、物議を醸した。

 多国間協調を軽視し、途上国を侮り、イランの司令官殺害のような不意打ちの軍事行動も辞さない。

 北朝鮮の核問題では米朝首脳会談を重ね、派手な演出で耳目を集めたが、肝心の核廃棄は進展していない。

 大統領選が始まり、トランプ氏は外交で成果をあげようとするだろう。身勝手な外交を繰り返すなら、国際社会が不安定になり、米国の信頼は低下するだけだ。

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