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毎日フォーラム・パラスポーツ

河合純一JPC委員会委員長

就任記者会見で抱負を語る日本パラリンピック委員会の河合純一委員長=東京都中央区で1月10日

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心のバリアーを取り除きたい

 1月1日付で日本パラリンピック委員会(JPC)の実務者トップとなる委員長に河合純一(44)が就任した。アスリート経験者としては初の委員長だ。同10日に東京都内であった記者会見で、河合は「アスリートセンタード(選手中心)の組織を作りたい」と語った。

 静岡県の旧舞阪町(現・浜松市)の出身。先天性の弱視で、15歳で全盲になった。筑波大学附属盲学校高等部に通っていた1992年に競泳選手としてバルセロナパラリンピックに初出場。以降、96年アトランタ、2000年シドニー、04年アテネ、08年北京、12年ロンドンの計6大会に出場し、日本選手最多の計21個(うち金5個)のメダルを獲得した。

 パラリンピック出場経験者の選手会「日本パラリンピアンズ協会」の会長などを務め、16年には日本人で初めて、国際パラリンピック委員会(IPC)のパラリンピック殿堂に入るなど、国内外で日本のパラリンピック・ムーブメントを支える一人になっている。

 特技は、知人の声を聞き分けられることだ。大勢の観客や関係者が訪れたパラ競泳大会会場の人混みの中で、「河合さん、お先に」と声を掛けると、筆者の方に向いて、「山口さん、お疲れ様でした」と言われた。時間の把握も正確で、ある講演で予定時間よりも1分ほど過ぎた時には、「少しオーバーして、すみませんでした」と話したのを聞いたこともある。普段からよく接するパラリンピアンの中には、「河合さんは、本当は見えているのに違いない」と冗談を言う人もいるほどだ。

 パラスポーツ界の課題は多い。パラリンピック日本代表の競技力向上のために、選手個人も、チームとしても、レベルアップが必要だ。そのために、まだスポーツを始めていない障がい者=人材の発掘や、パラスポーツの指導者の育成、応援する人たちを確保するために、一般国民への普及も視野に入れる必要がある。

 とりわけ、東京2020パラリンピックを前に、「にわかファン」が増えたパラスポーツを、21年以降にどう定着させていくか。現役選手たちの経験や知識を生かし、将来指導者として活躍するための制度や環境をどう整えるか。「オリ・パラ一体」と言われながら、どうしてもオリンピックほどにはパラが重視されていない現状を、どう改善するか。

 一例として、指導者制度に触れたい。日本身体障がい者水泳連盟の会長として、河合は、日本障がい者スポーツ協会(JPSA)の指導者制度とリンクさせた独自の指導者制度を設けるなど、成果を上げた。パラリンピックだけで22競技、それ以外のパラスポーツを含めると数十ある競技団体の中には、指導者制度が整っていないケースが少なくない。

 記者会見で河合は「ミックスジュースではなく、フルーツポンチのような世の中に」と話した。この言葉は、委員長就任前から河合が繰り返し語る「共生社会」の姿だ。「個性をすり潰すのではなく、そのよさを生かしながら、交ざり合う社会にしたい」との思いが宿る。

 パラリンピックは人間が持っている可能性の祭典と位置付け、「人々が持つ心のバリアー(障害)を取り除くため、全力で取り組みたい」とも語った河合。「アスリート出身の河合さんが、どんな改革をしてくれるか、楽しみだ」(パラリンピック出場経験者)と、寄せられる期待は大きい。=敬称略(毎日新聞社オリンピック・パラリンピック室委員、山口一朗)

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