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社説

デジタル通貨と日銀 利用者本位の研究が必要

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 電子化されたお金をネットなどでやり取りするデジタル通貨の仕組みについて、日銀は欧州中央銀行など海外5中銀と共同研究を始める。中銀が発行する場合の利点や課題を検証し、年内に報告書をまとめる。

 通貨の番人である中銀が発行すれば、現金が中心となってきた社会を大きく変える。欧州には前向きな意見もあるが、日銀は現時点で計画していない。今回の研究も実際に発行するかは各中銀が判断するという。

 ただ経済のデジタル化に伴い、通貨もデジタル化の流れが加速している。民間では、米フェイスブックがリブラ発行構想を発表した。日銀も研究を深めておく必要がある。

 研究の背景には国際的駆け引きもある。中国は人民元のデジタル化を急いでいる。世界の基軸通貨ドルに対抗する狙いだろう。日米欧は中国に主導権を握られかねないと警戒している。共同研究に加わっていない米国も独自の研究を進めている。

 デジタル通貨の利点は利便性や効率性が高まることだ。現金に比べ、支払いや送金がスマートフォンで安く簡単にできる。日本では年8兆円とも試算される現金の管理・輸送などにかかる費用も節約できる。

 ただ、リブラのように中銀が関与しないお金が出回ると、金融政策の効果が薄れて経済を不安定にしかねない。テロ資金などに悪用される恐れも高まる。中銀が発行すれば、こうした問題はかなり解消される。

 一方で課題も多い。中銀が発行する分だけ民間銀行の預金が減り、企業への融資も少なくなって景気を悪くする恐れがある。技術革新を担う民間企業が発行しないと、通貨の利便性も高まらなくなる懸念もある。お金のやり取りといった個人情報を中銀が一手に握ることも心配だ。

 利点も課題も国民生活に広く影響が及ぶ。日銀は利用者本位の観点で研究することが求められる。

 とりわけ日本は現金を使う割合が高い。政府は現金を使わないキャッシュレス決済推進を掲げているが、スマホが苦手な高齢者らも多い。デジタル弱者への配慮は欠かせない。

 通貨を巡る国家間の勢力争いがあっても、日銀はひきずられてはいけない。大事なのは、デジタル時代も国民が安心して使える通貨の将来像を描くことだ。

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