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社説

新型肺炎とデマ 差別生まない情報発信を

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 新型肺炎の感染が世界的に拡大する中、インターネット上を中心にデマや不正確な情報が拡散している。

 「武漢からの発熱症状のある旅客が、関西国際空港の検疫検査を振り切って逃げた」「東京五輪が中止」といった虚偽情報が広がった。

 実際には確認されていない地域で「感染者が出た」とする誤った情報もいくつか見られた。

 新たな感染症であるため、感染力や危険度など、分かっていないことが多い。先の見えない状況から、なるべくたくさんの情報を得たいという心理が増幅される。

 しかし、デマや不正確な情報は、社会の不安をあおり、混乱を招く。

 そんな事態を避けるには、公的機関や専門機関による正しい情報のこまめな発信が欠かせない。政府はプライバシーを考慮しつつ、判明した事実を迅速に公表する必要がある。

 関西空港や五輪中止のデマ、誤った感染情報は、関係機関が公式に否定した。事実でなければ、即座に修正していくことも重要だろう。

 新型肺炎を巡って米IT企業は、ネット上の虚偽情報拡散を抑える取り組みを始めた。情報の真偽を確かめ、間違っていれば表示を制限するなどの措置である。

 誤った情報の広がりが恐ろしいのは、いわれのない差別や偏見を呼ぶことだ。過去の感染症でもデマは流れ、患者差別を生んだ。原発事故の際も、被災者が苦しめられた。

 今回も中国人を中傷する投稿がネット上に出ている。欧米では、日本人も含めたアジアの人々への差別的言動が問題になっているという。

 現在、感染拡大を防ぐため、感染者や感染の可能性が否定できない人の生活に、一定の制限が加えられている。政府には、そうした人たちへの偏見を招かないように、正確な情報発信が求められる。

 厚生労働省によると、感染者の治療に当たる病院関係者の家族に対する差別の相談が寄せられており、こうしたことへの対応も課題である。

 SNS(交流サイト)の普及で、誰もが情報を発信できる時代になった。軽い気持ちで行った投稿や書き込みの拡散が、結果的にデマを広げることもあり、注意が必要だ。

 社会不安が高まる時こそ、情報を冷静に見極めたい。

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