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社説

若手研究者の支援策 「絵に描いた餅」では困る

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 日本の研究力が低下している。欧米と中国が競い合う中、日本だけが伸び悩む。米科学情報会社によると、影響力のある論文のシェアでも日本はトップ10から転落した。

 背景にあるのは人材難だ。大学院修士課程から博士課程への進学者は、この15年間で半減した。将来に不安を感じ、修士で企業に就職する若者が多いからだ。苦学して博士になっても3割近くは仕事がない。国立大学では40歳未満の教員の64%が、不安定な任期付き雇用だ。

 近年は日本人のノーベル賞受賞が続いているが、大半は30歳代後半の時の業績だ。柔軟な発想力と挑戦心に富む若手に良好な研究環境を提供できるかが、復活の鍵となる。

 現状打開のため、政府は若手研究者支援の総合対策をまとめた。博士課程在籍者への経済支援拡充と、若手が最長10年間、研究に専念できるような研究費の新設が柱だ。

 活躍の場となる大学や企業にも数値目標を示して取り組みを求めた。

 大学では、40歳未満の教員比率を3割に引き上げる。5年間で5500人分のポストを若手に提供する計算だ。企業に対しては、年間1400人程度にとどまる博士の採用を1000人積み増すよう求めている。

 しかし、現状では実現性は低いと言わざるを得ない。

 政府はこれまで、国立大学が人件費などに充てる運営費交付金を減らしてきた。このため大学は若手の採用を控え、正規のポストを削った。結果、若者の研究者離れが進んだ。

 国主導の過度な効率主義が裏目に出たともいえる。先進国でも公教育への支出比率が低いと言われる現状を、見直すべきではないか。

 企業も、グローバル経済の中で専門性の高い人材を求める一方、日本の大学を出た博士より海外の人材を優先してきた。こうした慣行が活躍を妨げている。

 博士課程の大学院生を長期間の有給インターンシップで受け入れるなど、改善への努力をすべきだ。大学側も、ビジネス感覚に富む博士の育成に汗をかいてほしい。

 海外では、博士号保持者は行政から財界まで各分野で活動し、社会的地位や年収も高い。日本の現状は世界標準にはほど遠い。手遅れにならないうちに知恵を絞る必要がある。

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