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社説

新型肺炎と観光業 影響緩和へ、効果的支援を

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 新型肺炎が日本の観光業界に深刻な影響を及ぼしている。最大の「得意先」である中国人の団体旅行が禁止され、大規模なツアーがキャンセルされている。

 観光業界にとって、1月下旬からの春節(旧正月)休みは中国人客が殺到する書き入れ時のはずだった。だが、新型肺炎の影響で訪日中止が相次ぎ、キャンセルは3月末までで少なくとも40万人にのぼるという。

 1~3月の宿泊取り消しが9万人超という静岡県の場合、旅館から「売り上げへの影響が大きい」と悲鳴が上がっている。中国人宿泊客の割合が多い山梨や奈良など各県も大幅な旅客減少に苦しんでいる。

 横浜沖に停泊したクルーズ船で集団感染が確認された中、九州や沖縄では近年「ドル箱」だったクルーズ船の寄港が中止となり、商業施設の売上高が半減しているという。

 円安やビザ緩和を背景に訪日外国人は近年増え続け、昨年は過去最高の3188万人だった。3割超を占めた中国人が圧倒的な首位だ。

 中国人は宿泊や土産などの消費総額も1・8兆円弱と最大で、アベノミクスのインバウンド(訪日外国人)戦略のけん引役となった。昨年は元徴用工問題をめぐる外交摩擦で訪日韓国人が大幅に減ったが、その分も中国人客の伸びがカバーした。

 自治体も中国人を含む訪日観光客誘致による地方創生に注力してきた。ただ、もともと海外の経済情勢や感染症など突発的な出来事に顧客動向が左右される不安があった。

 地方の観光業の担い手の多くは体力が乏しい中小企業だ。訪日客が落ち込めば、経営が一気に厳しくなる脆弱(ぜいじゃく)な構造を抱える。今回はそんなリスクが顕在化しただけに、急場をしのぐ支援が必要だろう。

 政府は週内にもまとめる緊急対策で公的金融機関による観光業者らへの資金繰り支援を打ち出す見通しだ。地方の不安を和らげるには、感染防止策や顧客対応への助言などきめ細かい施策も必要になる。

 また、感染に過敏になった他の外国人が訪日観光を敬遠する事態も懸念される。政府は感染者の状況や検疫・治療に関する正確な情報を外国語でタイムリーに発信すべきだ。「観光立国」を掲げる安倍政権には、効果的な対策を講じる責任がある。

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