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詩歌の森へ

「種子の力」に任せて=酒井佐忠

 森澄雄没後10年となる今年、森潮の初めての句集『種子』(文學の森)が刊行された。森潮は森澄雄の長男。少年時代から画家を目指し、大俳人の父とは距離をもっていたが、やがて父の句集に接して俳句に開眼した。1989年から2010年までに書き溜めた428句を収めた大部な一冊。余分な力をこめず、力まず、自然体でありながら、生の真実を見つめる爽やかさと思いの深さを感じさせる作品に魅せられる。

 たとえば父が愛した近江を訪ねての作品。<葭切(よしきり)のこゑを一日淡海なり>。微かな夏鳥の声のほかは静寂に満ちた湖を前に父と芭蕉につながる道に思いをはせる。<車椅子の父に吾子乗せ初詣>。実際に車椅子を押す姿に何回も私は接した。だがやがて、父の死などを詠むことになる。「八月十八日、父澄雄死す」の詞書のある一句、<見えてゐて帰らぬ父や秋の風><死者生者包みてゐたる虫の闇><百日紅父は若狭へ近江へと…

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