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スミレの香り

/219 馳星周 画 田中靖夫

「ハックルベリーの本に、真波の書き込みがあった。真波にとっては大切な言葉らしいんだが、聞いたことはあるか? ゆるしとは――」

 わたしは真波の書いた文章を読み上げた。読み終える前に、知子の嗚咽(おえつ)が耳に流れ込んできた。

「どうした?」

「それ、わたしのことよ」

 知子が言った。声が涙で濡(ぬ)れている。

「マーク・トウェインの文章らしいんだが」

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