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余録

ノムさんこと野村克也さんは…

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 ノムさんこと野村克也(のむら・かつや)さんは少年時代、夕暮れの浜辺に咲くかれんな花に心引かれた。「なぜ昼に咲かないのか」。それを思い出したのは数十年後、通算600本塁打を前に、達成時の談話を考えていた時だった▲「王(おう)や長嶋(ながしま)が太陽を浴びて咲く『ひまわり』とすれば、こっちは人目にふれないところで咲く『月見草』や」。記録達成の日の観客は7000人、同日の巨人戦は5万人近い入りだった。歴史的談話は熟考し、準備されたものだった▲「人や集団を動かすものは言葉しかない。ほかに何があるんですか」が口癖だったノムさんは、練達の言葉の使い手だった。捕手時代の「ささやき」戦術、監督として掲げた「ID野球」、芸の域に達した「ぼやき」もそうであろう▲だから名言は多い。「野球は気力1分、体力1分、残り8分は頭なんや」「配球も人生も大事なのは『緩急』」「グチは『不満』を表すもの、ボヤキは『理想と現実の差』を表現する」「アマは『自分が喜ぶ』。プロは『人が喜ぶ』」▲打者としての最多打席数や歴代2位の本塁打、安打、打点、さらに平成最多勝利監督などの栄誉は今さらたたえるまでもない。ただ精神論が幅をきかせてきた日本の野球に「考える野球」の文化を吹き込んだ功績は忘れてはなるまい▲名言「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」は剣術書からの引用だという。「ささやき」の昭和から「ぼやき」の平成へ、大記録と令和の野球文化を次世代に残し、ノムさんが旅立った。

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