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高速炉、「夢」追い続ける政府 「予算の浪費」の声も 共同開発の仏は建設中止

高速炉開発を巡る主な動き

 原発で使った核燃料を再利用する核燃料サイクル政策。その要を担う次世代の原発「高速炉」はフランスでは建設中止が表明されたが、日本政府は「夢」を追い続けている。日本原子力研究開発機構は2019年末、仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)などと協定を結んで研究を続けるが、実用化が難しい中での研究に「予算の浪費」という声も出ている。

関連費40億円計上「予算維持したいだけ」

 日仏間の協定は19年12月3日、原子力機構やCEA、両国の原子炉メーカーの間で結ばれた。両国の政府同士は、半年前の6月に協定を締結。それに基づき、機構などが原子炉の材料の開発などを効率的に進めることを確認した。機構の担当者は「高速炉の実用化のため技術確立を推進する」と意気込む。

 具体的には関係機関が連携しながら、コンピューター上で重大事故を再現して対策の方法を探るほか、炉内で核燃料をどう燃やせば効果的に発電できるか計算をして、最適な方法を模索する。日本政府は20年度の予算案で、高速炉の関連費用として計40億円を盛り込んだ。

 しかし、経済産業省によると、こうした研究は基礎的な内容にとどまる。高速炉は極めて複雑な構造をしており、技術の確立に結びつくかは見通せていない。岡本孝司・東京大教授(原子力学)は「実際にものを作ってトラブルへの対応も含め、いろいろ経験することが重要だ。日本企業がジェット旅客機の開発に苦労しているように、経験がないと技術や人材が育たず実用化は厳しい」と話す。

 高速炉を含め原子炉の実用化には「発電技術を実証するための原型炉」→「経済性を確認する段階の実証炉」→「営業運転の段階の実用炉」などの建設を経る。高速炉の開発に当たり、日本は当初「原型炉」だった「もんじゅ」(福井県)で研究を重ね実用化を目指した。だが、トラブル続きで16年に廃炉が決まった。

 政府は並行して仏との共同開発も推進。仏が建設を計画していた高速炉「アストリッド」に期待していた。アストリッドは原型炉の次の段階に当たる「実証炉」タイプで、日本政府は19年度までに関連予算として計320億円を計上。建設後には、実機でデータを集めて実用炉へ踏み出すことをもくろんでいた。

 ところが、CEAのフランソワ・ジャック長官は19年10月、仏国会上院で「アストリッドの建設断念」を明言した。ウランの資源量は想定を上回ることから、核燃料のウランが低価格で推移することが見込まれ、使った以上の核燃料を生み出すとされる高速炉の必要性が低くなったためだ。現状では、アストリッドの実用化には経済性がないとの考えだ。

 こうした仏側の動きに、経産省は「事前に仏側からそのような方針を聞いていた」と平静を装う。ただ、政…

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