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余録

「国家および国民の運命が危機にひんしている時は…

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 「国家および国民の運命が危機にひんしている時は、紳士は他人の手紙も盗み読むものである」。こう書いたのは米ソ冷戦の初期から米CIAを率いて、海千山千(うみせんやません)の情報機関に育てあげたアレン・ダレスだ▲「紳士は……」とあるのは、1929年当時の国務長官スティムソンの言葉を皮肉ってのことだ。スティムソンは「紳士は他人の信書の盗み読みはしない」と言って、米国が行っていた他の国の外交公電の暗号解読を中止させたのだ▲米国も第二次大戦で覇権国家として登場する前は、情報の世界でもずいぶん純朴なところがあったようである。ただこの一件では解雇された暗号専門家が、軍縮会議での日本の外交暗号を解読していたと暴露して日米で一騒ぎあった▲こちらは冷戦期からつい最近までの話だ。CIAと西独情報機関がスイスの暗号機器製造会社を秘密裏に買収、その製品を用いていた同盟国を含む各国の通信を解読していたという。機器は米独が解読できるよう手が加えられていた▲日本も含む約120カ国に売られたこの機器、肝心のソ連や中国は用いていない。敵も同盟も関係ない仁義なき盗み読みである。中国通信大手ファーウェイの機器に対し米国が主張する情報窃取(せっしゅ)の「裏口」疑惑を思い出す方もいよう▲情報機器の製造段階から仕込んだペテンの先達(せんだつ)としては、裏口はない方がおかしいと見たのか。今時、米国の情報機関を紳士と思う方はいまいが、紳士でいるにも周到な目配りとしたたかさが欠かせない現代だ。

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