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余録

「大正も七年となるが…

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 「大正も七年となるが、迷信というものはなかなか跡を絶たない」。そう嘆くのは1918年のスペイン風邪の流行の時の新聞記事である。この流行でおかしな張り紙やおまじないがはやっているという▲戸口に「久松留守(ひさまつるす)」とある張り紙はお染(そめ)・久松の話にちなみ「お染風」が入らぬようにするまじないで、江戸期からの病よけという。新し物好きは「お七(しち)留守」と八百屋お七を持ち出し、悪疫を寺小(てらこ)姓(しょう)に見立てて「小姓風」と呼んだ▲だが感染が広がり、家族がみな発病する家も増えると「家内一統留守」の張り紙もはやった。記者は迷信だとくさすが、張り紙をする人にすれば半ばしゃれ、半ばは体調の悪い来客にやんわり遠慮を促すのが狙いだったのではないか▲新型コロナウイルスによる肺炎で、感染経路のはっきりせぬ感染者が国内で複数確認され、国内初の死亡者も出た。中国への渡航歴や患者との接触歴が不明な感染者の存在は、すでに国内で感染が広がっている可能性をうかがわせる▲水際の防疫を重視してきた政府の新型肺炎対策だが、国内での感染拡大を前提とした検査・医療体制を始動させておかねばなるまい。すでに感染の恐れのある人は電話相談を通し各地の専門外来に紹介できる態勢が整っているという▲感染が広がれば、すべての人の手洗いやせきエチケットが人類と感染症との闘いの防衛線となる。発症が命にかかわる高齢者や持病のある人たちにとって、自らが「お染」や「小姓」にならないよう心を配りたい。

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