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昭和史のかたち

質の高い日記出ぬ現代=保阪正康

社会の知性そのものが劣化か

 昨年の12月であったか、平成時代に今の上皇陛下のそばで長く働いた官僚と対話する機会があった。その折に、「いずれ将来、『平成天皇実録』が刊行されるだろう。その時に、史料になる文献は意外に少ないように思うが、どうだろうか」という話になった。そういえば、昭和天皇に比べて、平成の天皇、皇后両陛下の、いわば側近と目される人たちの日記や回想録、評伝などは、さほど目立つわけではない。特に、おそばにいた人たちの日記などは、あまり印象がない。平成の天皇陛下の魅力、さらに彼が国民に受け入れられていた事実は、大いに記録されていなければならないはずだが。

 私は、このやり取りを通じて、意外な事実に気がついた。昭和の時代には、昭和天皇の側近に限らず、日記そのものが文学やノンフィクションの中に一分野を築いていた。思いつくままにあげても、作家、永井荷風の「断腸亭日乗」や評論家、清沢洌(きよし)の「暗黒日記」、戦時中の内大臣、木戸幸一の「木戸幸一日記」、特に戦後の政治家では、佐藤栄作の「佐藤栄作日記」……。とにかく、さまざまなジャンルの人たちが日記を残して…

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