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電気と水を自給自足 国内初の「アースシップ」 5月から一般向けに貸し出し 徳島・美馬

独特の外観をした「アースシップミマ」=徳島県美馬市で、松山文音撮影

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 古タイヤや空き缶などの廃棄物を資材に用い、電気や水を自給自足する住宅「アースシップ」が、徳島県西部の美馬市に誕生した。アースシップは、米国の建築家が環境保護の観点から提唱し欧米を中心に広がるが、国内での実用化は初という。「Earthship MIMA(アースシップミマ)」と名付け、5月からゲストハウスとして一般に貸し出す。神奈川県出身で、代表として建設を進めた倉科智子さん(46)は「社会を持続可能にしていくヒントやきっかけになれば」と話す。

 「現時点で私たちが完全に制御できるものでなかったから事故が起きた」。倉科さんは、東日本大震災(2011年)での福島第1原発の事故に大きな衝撃を受け、環境やエネルギーの問題を考えるようになった。電気を使わない生活を1カ月続けてみたこともあったが、再び電気を使い始めるとありがたみを感じ、電気のある生活を否定するまでに至らなかった。「電気の快適さは維持しつつ、自然に寄り添うエネルギーを使い、環境への負荷が低い家に暮らしたい」と考えるようになっていた頃、米建築家のマイケル・レイノルズ氏が提唱するアースシップの存在を知った。

生活全般に用いる雨水の浄化設備について説明する倉科智子さん=徳島県美馬市で、松山文音撮影

 一方、「自然に恵まれた環境で暮らしたい」とも思っており、15年に美馬市が募った「地域おこし協力隊」に応募。隊員として採用され、当時住んでいた神奈川県葉山町から移住した。美馬で暮らすうち、自らアースシップを造ることを決意。約4000万円の費用の一部はインターネットで出資を募る「クラウドファンディング」で集めた。レイノルズ氏と連絡を取ってみると、わざわざ来日してアドバイスしてくれることになり、18年に建設を開始。19年夏に完成した建物は広さ約100平方メートルの平屋で、二つの部屋とキッチン、バス・トイレを備える。

 資材として集めた廃棄物は、古タイヤ800本、空き瓶4000本、空き缶1万3000個など。古タイヤは壁に埋め込むと断熱材や蓄熱材の代わりとなり、コンクリートの間に入れた空き缶も中の空気が断熱の役割を果たす。建物内に冷暖房器具は無いが、年間を通して21度前後の室温を保つ。また、コンクリートの間に空き缶などを入れることで使用するモルタルの量も抑えることができた。

 空き瓶は明かり取りにも用い、ステンドグラスのような、おしゃれ感を出した。屋根には太陽光発電を備え、余った電力を蓄電池にためる。水は雨水を利用。容量6000リットルのタンクにためた上で雑菌を99・9%除去するろ過装置を通して使用。排水も敷地内のプランターで使うなど無駄にしない。ドライヤーなど消費電力の大きな一部の家電は使えないが、一般的な住宅と同じように快適に過ごせるという。

 完成後は、「国内初のアースシップ」との話を聞きつけ、環境問題に関心を持つ建築の専門家らが相次いで視察に訪れている。ゲストハウスとしては一棟貸しする予定で、定員は最大5人。倉科さんは「ゲストハウスを利用して、環境に優しい家のハードルは決して高いわけでないことを体感してほしい」と期待する。視察や開業後の利用に関する問い合わせはホームページ(https://www.earthshipmima.com/)から。【松山文音】

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