
2016年リオデジャネイロ五輪の男子400メートルリレー予選で、第2走者の飯塚翔太(左)にバトンを渡す山県亮太=リオデジャネイロの五輪スタジアムで2016年8月18日、三浦博之撮影

再現力 第1走者が得意な理由=陸上・山県亮太
2016年リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得し、東京五輪で金メダルを目指す400メートルリレーについて裏話をしましょう。走る順によって、個人の100メートルとは異なるコツがあるのです。
学生時代はアンカー(第4走者)でしたが、代表では五輪初出場の12年ロンドン五輪以降、第1走者を任されることが多くなりました。リレーは第1、3走者がカーブを走ります。私はカーブでタイムが落ちにくく、スタートが得意なため、リオ五輪でも第1走者でした。
カーブを100メートル走るのは難しい。レーンは全部で9レーン。内側の1レーンになるほどコーナーの角度はきつくなり、個人的に6レーンより外側は比較的走りやすいと感じます。遠心力で減速せず、いかに前への推進力を得るかがポイントです。

走り出してからは、カーブがきつい場面で加速をせず、スピード維持を心がけます。レーンによって加速のタイミングを変えていて、例えば、終盤が直線になる外側のレーンの場合は、カーブを抜けてから再び加速します。本番直前にイメージを持って練習すれば、すぐに対応できます。
昨年5月に国内で行われた2大会では、代表で初めて第2走者を務めました。バトンの受け渡しを含めて長い距離を走ることになり、110~120メートル走るつもりでないとエネルギーが枯渇します。最初の30~40メートルの1次加速で一気に足の回転数を上げすぎると、スピードを持った状態で第3走者にバトンを渡せないため、徐々に丁寧に加速する意識を持っています。
リオ五輪の決勝では第1走者の中でトップのタイムでした。銀メダルが取れたのは、次走者と無駄のないバトンパスができたおかげです。代表で意識していることはバトンの受け渡しのために手を上げる時間をできるだけ短くすること。短いほど、スムーズに走ることができます。
安定して結果を出していて、最も自信があるのは第1走者です。ただ、走る順は代表スタッフが決めるため、言われた区間を走ります。日本の短距離陣のレベルは非常に上がっていて、まず、メンバーに入れるように頑張ります。
試合前に聴く音楽や好きな歌は何ですか。
ミスターチルドレンが好きで「GIFT」や「PADDLE」などをよく聴きます。部屋のBGM代わりです。ただ、レース前はいろいろと考えるため、音楽は聴きません。なるべく静かな環境で集中を高めるようにしています。
山県亮太(やまがた・りょうた)
広島市出身。2015年4月、セイコーホールディングス入社。16年リオデジャネイロ五輪400メートルリレー銀メダル。18年ジャカルタ・アジア大会の100メートルは10秒00で銅メダル。27歳。
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東京五輪を目指す選手のリレーコラム「アスリート交差点2020」。陸上の山県亮太▽競泳の渡辺一平▽バドミントンの奥原希望▽卓球の伊藤美誠▽カヌーの羽根田卓也――の各選手が競技へのこだわり、近況などを率直な言葉で伝えます。ご期待ください。
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