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社説

トランプ氏の予算教書 内向きが世界の不安増す

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 トランプ米政権が2021会計年度(20年10月~21年9月)の予算編成方針を示す予算教書を発表した。際立ったのは今秋の大統領選しか眼中にないような内向きの姿勢だ。

 超大国のトップが選挙目当ての予算一辺倒では、財政赤字を垂れ流し世界の不安を増幅させるだけだ。

 赤字は政権発足後の3年間で6割増の1兆ドル(約110兆円)に急膨張した。トランプ大統領肝いりの大型減税と国防費拡大が主因だ。

 ところが今回の教書は、21年度から赤字が減少に転じ、5年後には半減するとの見通しを示した。「小さな政府」の支持者が多い保守層にアピールする狙いとみられる。

 問題なのは、前提となる経済成長率の想定が極めて甘いことだ。昨年は2・3%だったのに、今後は3%以上の高成長が続くと見込んだ。税収が大幅に増えて財政健全化も進むと強調したいのだろう。

 だが党派に中立な議会予算局が、成長率2%弱と現実に近い想定で行った試算では、赤字は21年度以降も1兆ドル超の高水準で推移する。

 もう一つの問題は、地方の農家など支持基盤向けの大盤振る舞いである。各地のインフラ投資に今後10年で総額1兆ドルをつぎ込む。現実離れした税収増を当てにして政権に都合のいい歳出を膨張させると、赤字が増えるばかりではないか。

 財政悪化が深刻になると、米国債の価格が急落して金利の急上昇を引き起こし、米国の景気を冷え込ませる恐れがある。また、信用力の高い米国債は日本など各国が大量に保有している。価格が急落すると多額の損失を抱える。いずれも世界経済に大きな打撃を与える。

 米国債の金利は今のところ低い。中央銀行の連邦準備制度理事会(FRB)が昨年、利下げを実施したためだ。利下げはトランプ氏が強く迫ったもので、低金利が財政規律の緩みを助長している。

 気がかりなのは、トランプ氏が追加減税に意欲を示していることだ。選挙対策優先で赤字をさらに膨らませるようでは身勝手に過ぎる。

 「米国第一」を掲げるトランプ氏は貿易でも高関税を乱発して世界を混乱させた。米国は本来、国際秩序の安定に責任を負う。立場を自覚し健全な財政運営に努めるべきだ。

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