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今週の本棚

江國香織・評 『雲』=エリック・マコーマック著、柴田元幸・訳

 (東京創元社・3850円)

 どこに行くのかわからないまま旅をするような、稀有(けう)な手さぐり感のある小説で、読んでいて、それが得も言われず愉(たの)しい。気がつくとどこか深い場所にいるのだけれど重くはなく、タイトル通り、ずっと曇り空の下にいるような安心感がある。あるいは水中歩行をするような、静寂と驚異がある。

 主人公が旅先で見つけた一冊の本から小説は始まる。そこには、かつてスコットランドで起きたという怪しい気象現象が綴(つづ)られていて、ダンケアンという地名に惹(ひ)かれた主人公(その土地に思い出があるのだ)は、真偽のほどもわからないその本について調べ始める。同時に、彼の人生がすこしずつ明かされていく。それは十分に波瀾(はらん)万丈な人生なのだが、波瀾万丈という言葉が似合わないほど静かで控え目な人生で…

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