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終わらない氷河期~疲弊する現場で

2019年7~9月に連載した「終わらない氷河期~今を生き抜く」では、氷河期世代が就職に失敗し、病気や引きこもりなどに苦しむ姿を描きました。その続編として今回は、非正規化、合理化で劣化する各労働現場で疲弊する同世代の人生を取り上げます。規制緩和や制度改悪などが進む各業界特有の事情も別稿で解説します。

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終わらない氷河期~疲弊する現場で

「どれくらい子どもたちと話していないだろう」 51歳個人配送業男性のため息

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 パソコンのワンクリックで簡単に商品を注文でき、あらゆるものが宅配される時代。消費者が利便性を享受する一方で、ドライバーの労働環境は厳しい。バブル期に不動産業で高収入を得ていた男性は、その後の「氷河期」で転職を繰り返した末、行き着いた仕事が、個人請負型の配送ドライバーだった。【中川聡子/統合デジタル取材センター】

 「もうどれくらい子どもたちと話していないだろう……」。午後11時、シルバーのワゴン車を運転しながら、近藤啓介さん(51)=仮名、東京都在住=はふと考えたが、最後に話した場面が思い出せない。軽貨物の配送ドライバーとして働き、朝9時ごろから午後3時まで荷物を運び、夕方は体を休め、夜にはまた午後7時から午後11時ごろまで仕事に出る生活を続けて1年になる。都内や神奈川県で1日平均120個くらいの荷物を運ぶ。会社員ではなく、個人事業主として毎日、スマートフォンのアプリで仕事を取っており、明日の仕事の保証はない。思うように休日も取れない。

バブル全盛、20代で年収1000万円、その後は職を転々……。

 札幌市で育った近藤さんは、商業高校を卒業し、18歳で地元の建設会社に就職した。昭和から平成に移るころで、バブル景気のまっただ中、1989年、21歳で不動産の営業職に転職する。年収は一気に1000万円を超え、26歳で保育士の女性と結婚。2人の子に恵まれた。

 しかし、91年にバブルがはじけ景気後退が始まり、不動産業は窮地に追い込まれる。札幌市内の不動産会社を2社ほど経験し、35歳で東京都内の不動産会社に入社した。営業ノルマは過酷だった。「2000万~3000万円の契約を月1本」が絶対で、1日500件もの営業電話をかけなければならない。手に受話器をくくりつけられ、電話営業を強要される社員もいたという。会社も営業先も「パワハラ地獄。完全にメンタルをやられました」(近藤さん)。経営が傾き、給料は歩合制になり、月収30万円ほど。「もう耐えられない」。入社して6年後に退職した。その後、広告代理店の役員運転手を5年務めた後、友人の自動車販売店を手伝うなどして当座をしのいだ。

車はリース、ペナルティーも厳しく

 近藤さんは2019年に入り、インターネット上で「配送マッチングサービス」を提供するある業者の存在を知る。荷主からの配送依頼を取り、登録ドライバーに配送業務を委託する。ドライバーは…

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