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新型肺炎 「感染拡大」前提に対策 政府、専門家会議受け

新型コロナウイルス感染症対策の専門家会議。右端は座長を務める国立感染症研究所の脇田隆字所長=首相官邸で2020年2月16日午後5時1分、北山夏帆撮影

 新型コロナウイルス感染症への対応で、政府は16日に初めて開いた専門家会議の議論を踏まえ、感染経路がたどれない患者が国内各地で出ることを前提とした対策にかじを切った。加藤勝信厚生労働相は「これから考えないといけないのは、重症化や死亡する事例を出さないことだ」と話す。

 「国内発生の早期というのが共通認識。SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)に比べると、無症状や潜伏期の患者からの感染があり、感染を止めるのが難しい」。専門家会議後に記者会見した座長の脇田隆字・国立感染症研究所所長は、現状をこう解説した。

 13日に国内初の死亡を含め渡航歴のない患者の感染確認が相次ぎ、政府は水際対策を維持しつつ、各地での患者発生に備えた体制作りを急いでいる。

 陰圧室などがある感染症病床以外の一般病床でも入院を認め、中国湖北省との接点がない人も幅広くウイルス検査ができるようにする。帰国者・接触者外来も全国800カ所程度に増設する。治療効果が報告されている抗HIV(エイズウイルス)薬の使用を臨床治験として支援したり、症例を検証する専門家チームを設置したりと、治療法の開発にも力を入れる。

 厚労省の一連の対策は、新型インフルエンザが流行した2009年、国内患者の初確認から約半月後に政府がまとめた「運用指針」の内容と共通点が多い。

 運用指針は、それまで対策の下敷きとしてきた新型インフルエンザの行動計画が強毒性の疾患を想定していたため、実態に合うよう作り替えたものだ。当時は発生状況に地域差があったことを受け、患者数で地域を2分類。患者が少ない地域では「症状を訴える人は相談センターに電話した上で発熱外来を受診する」「疑いのあるケースを全例検査する」としており、新型肺炎を巡る現状に近い。

 だが、この指針も夏にかけ流行が拡大したことで変更を余儀なくされた。6月中旬は分類を廃して全国一律で「軽症者は自宅待機」とし、7月下旬には感染者の全数把握をやめ集団感染が出た時のみ国に報告を求めるようにした。季節性インフルエンザと性質が大きく変わらないとの知見が集まったことも背景にある。

 今回も新型肺炎の感染が広がれば、医療機関や保健所がパンクしないよう、軽症者の自宅待機や全例検査の中止など対策が切り替わる可能性がある。最優先すべきは重症者への適切な治療体制の確保で、国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は、16日のNHK討論番組で「助けることに人手を割くという意味で、軽い患者を診るところを決めるなど(医療機関の)分業も必要ではないか」と話した。

 一方、個々の取り組みも引き続き重要だ。脇田氏は「国民全員が協力して感染のまん延を抑える行動が必要だ」と強調。テレワークの促進や時差出勤、人混みを避ける行動、不要不急の集まりの自粛検討なども呼び掛けた。【阿部亮介、岩崎歩、村田拓也】

 既に市中で広がっている可能性もある今回の新型肺炎は、どの程度怖がるべきで、日常生活で感染を予防するにはどうしたらよいのか。

 重症化したり死亡したりするリスクは、重症化する他のコロナウイルス感染症よりも低いとみられる。世界保健機関(WHO)に…

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