連載

まほろば再発見

「やまとは国のまほろば」と和歌に記される通り、奈良は豊かな文化遺産に恵まれています。「まほろば再発見」では、遺跡や博物館などの現場を訪ね、あるいは研究者たちに聴いて、その魅力に迫ります。

連載一覧

まほろば再発見

宇陀松山(宇陀市) 城下町から薬の町へ /奈良

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
薬の看板や原料などを展示する宇陀市歴史文化館「薬の館」=奈良県宇陀市で、大森顕浩撮影
薬の看板や原料などを展示する宇陀市歴史文化館「薬の館」=奈良県宇陀市で、大森顕浩撮影

 県東部の山あいにある宇陀市の南西部の松山地区は、風情ある町並みが広がり、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定されている。戦国時代の城下町が江戸時代に商業都市に発展。明治以降も役場や旅館が建ってにぎわった。歴史の積み重ねが感じられる建物群を訪ねた。【大森顕浩】

 松山地区は、南北に流れる宇陀川の東岸を走る街道沿いに広がる。重伝建地区は東西最大約300メートル、南北約1・5キロの約17ヘクタール。建築物約140件などが保存対象だ。瓦葺(ぶ)き、漆喰(しっくい)壁、格子窓や虫籠(むしこ)窓を備える伝統的な町屋が建ち並ぶ。街道に面する町屋の前には、石組み水路「前川」が走る。宇陀市教委文化財課の柳澤一宏課長補佐は「火事の時は板で水をせきとめて消火に使っていました」と話してくれた。

 町並みは、東側にある古城山(473メートル)に造られた宇陀松山城(国史跡)の城下町として出発した。南北朝時代から戦国時代にかけての領主・秋山氏が築いた。大和高原の山々の中だが、京都や奈良、伊勢、和歌山につながる街道の交通の要衝にある。柳澤さんは「地域一帯を見渡すのに一番見晴らしがいい場所です」と解説する。急斜面のすそにはわずかに石垣が残る。頂上部の幅広い本丸跡や天守郭に立つと、大峰山脈も見渡せる…

この記事は有料記事です。

残り959文字(全文1505文字)

あわせて読みたい

注目の特集