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社説

羽田の新飛行ルート 住民置き去りではないか

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 羽田空港の新しい飛行ルートで今月、国土交通省が初めて実際に大型旅客機を飛ばせた。

 新ルートは東京都心の上空を縦断する。3月末に運用開始となる。今回の飛行は、管制官の手順の確認などを目的に計7日間行われた。

 今年の東京五輪開催に合わせて訪日客を増やすのが狙いだ。羽田の国際線の年間発着回数は1・65倍に増える。政府は昨夏、東京都など関係自治体から計画を了承されたことで「地元の理解を得た」として運用を正式決定した。

 だが、反対の声は根強い。今回、住民は旅客機の威圧感と騒音を初めて肌で知ることになった。運用が目前に迫った時期となったのは「日程ありき」で進めた結果ではないか。

 住民が心配するのは安全や騒音の問題だ。新ルートで都心上空を飛ぶのは午後3時から同7時までに限定されているが、数分おきに通過することになる。

 旅客機の着陸時の降下角度は昨夏、悪天時を除いて、国際標準とされる3・0度から3・45度に変更された。計画への自治体の了承を得るため追加の騒音対策として飛行高度が引き上げられたためで、当初より「急降下」することになった。

 これに対し、専門家からは着陸の難しさを懸念する声がある。各国のパイロットでつくる国際定期航空操縦士協会連合会(IFALPA)も先月、天候状況によっては降下角度がさらに大きくなる可能性があると指摘し、無理な着陸をしないよう注意を促す文書を発表した。

 騒音については、今回の確認飛行で小学校の上空を通過した際に81デシベルを記録した。地下鉄の車内並みの騒音だ。人口密集地だけに、部品など落下物に対する心配も大きい。

 現在、品川区の市民団体が新ルートへの賛否を問う区民投票の実施を目指している。このまま運用を見切り発車したのでは混乱は必至だ。

 まず、政府は航空会社側と協議し、万全の安全対策を講じるべきだ。また、降下角度を変更したことにどれほど騒音の低減効果があるかを、確認飛行に基づくデータで検証し、住民に示す必要がある。

 「観光立国」という国策を優先し、住民を置き去りにすることは許されない。

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