見つけた、と思った。これまでに何千と麺を食べていると、ひかれる店は出合った瞬間にピンとくる。「釜あげうどん くろ」(宮崎市橘通東5)は、ぼくの「好き」が詰まった愛すべき店だった。
ファサードは建築家、隈研吾氏が手掛けた建築をほうふつとさせるような木のあしらいが印象的だ。のれんもいい。向かって右側には白地に黒い文字で屋号が記され、もう片側はアーティスティックなモノトーンの線描画に一面が埋められていた。店に入ると程良い音量で、ゆら帝(ロックバンド「ゆらゆら帝国」の略)が流れている。たまらず「ゆら帝、いいですね」と声を掛けて、店主を見ると、服装や前掛けもオシャレだ。テーブルや椅子には木が随所に取り入れてあり、それらもまたセンスを感じさせ、デザインやサイズ感も気が利いている。
極め付きはうどんの器だった。器が「HASAMI PORCELAIN」ではないか。完全に心を撃ち抜かれた。これはロサンゼルスを拠点に活動するデザイナー、篠本拓宏氏が手掛けた波佐見焼のテーブルウエアシリーズで、磁器でありながらマットな質感があり、経年によってどんどん表情を変えていく。これを器に選ぶ審美眼に感動した。それまでにうどんの店をいろいろと見てきたが「くろ」は、そのどこにも似ていない。決してと…
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