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占いに“真実”を求めるうち生身の人間が露わになってゆく
◆『占(うら)』木内昇(のぼり)・著(新潮社/税別1800円)
占いをしてもらったことがない。いったん占ってもらえば、占いの行方に攪乱(かくらん)されそうでこわく、ずっと遠巻きにしてきた。でも、じゃあ占いにまるきり興味がないといえば嘘(うそ)になる。こわごわ覗(のぞ)きたい気持ちを抱くのは、星の数ほどある占い術ではなく、占いに関わると何が起きるのか、起きてしまうのか、について。
本書『占』は、占いにまつわる七つの短篇を収録する小説集。いったい占いの何が描かれているのか、暗幕を開ける戸惑いの入り交じった期待感は、それこそ占師を訪ねるときの気の逸(はや)りに通じていそうだ……すでに術中に嵌(は)まっている気もする。
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