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社説

肺炎で全人代延期へ 強権の弊害を見直す時だ

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 中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が新型コロナウイルスの感染拡大のため、延期される見通しになった。1998年以降、3月5日開幕が恒例だった。予算や政策方針を決める全人代の延期検討は新たな感染症の流行が中国に与えた衝撃の大きさを物語る。

 感染の拡大では大国・中国の持つ二面性が世界に示された。一つは1000万都市の武漢を封鎖し、10日余の突貫工事で2病院を完成させた力業だ。一方で、過剰な情報統制や事なかれ主義による対応の遅れから、感染を初期段階で封じ込める機会を逸した。

 世界第2の経済大国、中国は人工知能(AI)など次世代技術でも米国としのぎを削る。習近平国家主席は体制の優位性を強調してきたが、脆弱(ぜいじゃく)性を併せ持っていたわけだ。

 習氏自身、危機管理体制に欠点や不十分な点があったことを認めた。強権体制下、地方政府には独自の判断を避け、中央の指示を待つ方が無難という考え方が根強く残る。人権よりも治安維持を優先し、情報公開には消極的になりがちだ。

 SNS(交流サイト)で新型肺炎に警鐘を鳴らした若い医師の勇敢な行為も公安当局に封じ込まれた。医師は感染で死亡し、言論統制に対する国民の批判が高まっている。

 湖北省トップらが更迭されたが、それだけでは強権体制の持つ弊害は取り除けない。メディアの監視機能や内部告発の重要性にも目を向けるべきだろう。

 全人代延期が決まれば、4月上旬に予定される習氏訪日にも影響する可能性があるが、新たな感染症の広がりは国際協力の必要性を再認識させてもいる。日中の協力は重要だ。

 中国は情報公開を進め、武漢などで得られた知見を国際社会と共有してもらいたい。その際に台湾を排除すべきでないのは当然だ。特効薬やワクチンの開発でも国際協力が早期実現のカギになる。

 感染拡大で中国各地の企業が操業をストップさせ、世界的な部品供給網に混乱が生じている。世界経済の先行きも不透明さが増している。

 新型コロナウイルスの衝撃の大きさは中国の存在感を示してもいる。習政権がそれを自覚し、大国の責任を果たすことを求めたい。

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