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終わらない氷河期

疲弊する現場で/1 博士量産、ポストなく 6大学掛け持ち、50歳非常勤講師

フランス語の資料に目を通す男性=埼玉県で2019年12月、牧野宏美撮影

 バブル崩壊後の採用が少ない時期に、辛酸をなめた就職氷河期世代。彼らはそれぞれの業界、職場で長く苦闘を続けてきたが、制度改正や合理化によって労働環境の劣化は一層進んでいる。疲弊する現場の今を追った。

 遅刻しないよう、朝は早めの5時に起き、自宅のある埼玉県東部から2時間以上かけて神奈川県西部にある私立大学に向かう。1時間半のフランス語の授業を2コマ終えると、休む間もなく千葉県北部の私立大学へ。電車の中で昼食のおにぎりを詰め込み、2時間後にはまた教壇に立つ。文学や芸術の授業を午後6時に終え、帰宅する頃にはくたくただ。「毎日違う大学に行っています。一つの職場で集中したいですが、仕事があるだけましですね」。約15年間、非常勤講師を続けてきた川本昌平さん(50歳、仮名)は淡々と日々のスケジュールを教えてくれた。現在は六つの大学で講師を掛け持ちする。細いレンズのめがねにアーガイル柄のセーター、ジーンズ姿。落ち着いた口調だが、表情にはあきらめと疲れがにじむ。

 埼玉県出身。子どもの頃から本の虫で、学者に憧れを抱いていた。1年間の浪人時代にフランス文学者が書いた本に感銘を受け、有名私立大の文学部に入ってフランス語や文学を学んだ。

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