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第94回センバツ高校野球

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2020年センバツを前に 選手ファースト訴え 筒香選手インタビュー

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高校野球のあり方について話すレイズの筒香嘉智選手=堺市西区で2020年1月12日、山田尚弘撮影 拡大
高校野球のあり方について話すレイズの筒香嘉智選手=堺市西区で2020年1月12日、山田尚弘撮影

 今年、米大リーグに挑戦する筒香嘉智選手(28)=レイズ=は近年、記者会見などで、野球界の改革の必要性について積極的に発言してきた。自身の野球人生での経験や、周囲の選手たちに起きたことを交えながら、酷使による故障や高圧的な指導のない「選手ファースト」の野球界に生まれ変わるよう、熱く訴えた。【聞き手・福田隆】

 Q 甲子園について。

 A 元々、高校生の部活であり、教育の場。変えなければいけない部分はいっぱいある。もちろん、甲子園が悪い、と言っているのではない。選手の負担軽減のため日程など改善できる部分はある。

 Q 健康管理の面は。

 A 有望選手が高校1年から投げさせられすぎて、全然投げられなくなった、とよく聞く。甲子園が自分の人生の最高潮になってしまい、大学でそれが抜けきらない話も結構耳にする。あれほどの興奮を覚える場はなかなかなく「俺は甲子園に出たから、これが正しい」と。プロ野球ならいいが、高校生の教育と考えると良くはない。

 Q 勝利至上主義は。

 A もちろん、最大限勝ちを目指す。しかし勝つ「だけ」のために無理をさせ、成長を早めるのはだめ。選手は子どもなのだから指導ではなく「教育」をしなければならない。「高校で燃え尽きたい選手はいっぱい練習させた方がいい」とよく言われるが、それでは子どものためになっていない。

 Q どこが問題か。

 A 指導者の考え方がアップデートしていない。例えば、50歳の方が30年くらい前の指導法、つまり自分が教わったまま教えている。30年前と今だと全く環境が違う。子どもたちの将来を考えてあげることが第一。関東で少年野球を何チームか見に行かせていただいたが、指導者が、子どもにすぐに言うことを聞いてほしいから怒っている、と僕の目には映った。

 指導者がやりやすい環境を作るのではなく、子どもたちの将来を一番に考えてほしい。まずは、子どもたちと対等の関係で話してほしい。日本の指導者は、何か教えていないと指導している感覚にならない傾向があるが、見守ることも大事だ。

短時間集中練習を

 Q 野球界のあり方について積極的に発言している。

 A お母さんたちから、土日の負担などで野球をやらせたいけどできない、との手紙をたくさんいただいた。体の負担を考えると、短時間で集中して密度の濃い練習をすることが大事。指導者の自己満足は良くない。誰かが言わないと変わらないし、実際に僕が発言していろんな動きがあった。

 Q 今春センバツで「1週間500球」の球数制限が導入される。

 A これがゴールではない。これからも子どもたちの成長を考え、真剣にルールを考えないといけない。

 Q 高校野球ファンに。

 A 仲間と助け合う姿はとても大事。注目してほしい。ただ、教育の場としておかしいところはないか、観戦する側にも気付いてほしい。

     ◇

 第92回選抜高校野球大会が3月19日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。熱戦に期待が高まる一方、健康管理や指導方法など、野球界は多くの課題が指摘され、競技人口減少の一因となっている。新しい高校野球を作ろうと、課題に向き合う人々を追った。


 ■人物略歴

筒香嘉智(つつごう・よしとも)氏

 1991年、和歌山県生まれ。横浜高で2008年の春と夏に甲子園出場。10年にドラフト1位で横浜(現DeNA)に入団。16年には44本塁打、110打点で2冠に輝いた。通算成績は968試合で打率2割8分5厘、205本塁打、613打点。今年から大リーグのレイズでプレーする。

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