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こんな時代こそ文学を 黄犬(キーン)忌を前に 養子・誠己さんとしのぶ

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ドナルド・キーンさんの一周忌を前に、書斎で思い出を語る養子のキーン誠己さん。着ているのは、お気に入りだった形見のセーター=東京都北区で
ドナルド・キーンさんの一周忌を前に、書斎で思い出を語る養子のキーン誠己さん。着ているのは、お気に入りだった形見のセーター=東京都北区で

実利重視は「ナンセンス!」

 いつもより早い春の訪れが、「先生」のいない月日の重みをいや応なく感じさせる。世界的な日本文学研究者、ドナルド・キーンさんが96年の生涯を閉じて、24日で丸1年。好んで用いた漢字の署名に由来する「黄犬(キーン)忌」を前に、養子の誠己(せいき)さん(69)と共に先生が残した言葉を今一度かみしめ、込められたメッセージの意味を考えたい。【中澤雄大】

 私は10年来、キーンさんの取材を重ねてきた。東京都北区の西ケ原にある自宅マンションを訪ね、相対する度に背筋がピンと伸びたものだった。文豪・夏目漱石は「こころ」で<私はその人の記憶を呼び起すごとに、すぐ「先生」といいたくなる。筆を執っても心持は同じ事である>と書いた。私も同じ心境であり、キーンさんを「先生」と呼ばせていただきたい。

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