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社説

検事長の定年延長問題 これでも法治国家なのか

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 法律の解釈を恣意(しい)的に変える。それが法治国家のすることだろうか。

 安倍政権が黒川弘務・東京高検検事長の定年を延長した問題は、さらに疑問が深まっている。

 1947年に制定され、検察官の定年を定めた検察庁法には、延長の規定がない。81年に国家公務員法が改正され、一般職の定年や延長の特例が定められたが、人事院は当時、「検察官に国家公務員法の定年制は適用されない」と答弁していた。

 これに対し、安倍晋三首相は今国会の答弁で「今般、検察官の定年延長に国家公務員法の規定が適用されると解釈することとした」と述べ、法解釈を変更したと明言した。

 しかし、40年近く維持された法解釈を時の内閣が好き勝手に変えてしまうことには、大きな問題がある。

 法律は、趣旨や適用範囲を議論した上で国会が制定する。運用の原則を変えるのならば、法改正を議論すべきだ。解釈変更で済ませるのは、国会軽視に等しい。

 そもそも国家公務員法は公務運営に著しい支障が生じる場合に定年延長を認めているが、黒川氏のケースが当てはまるとは思えない。

 法解釈を変更した経緯についての政府説明も迷走している。

 人事院の担当局長は国会で、81年の人事院答弁について「現在まで当時の解釈は続いている」と答えた。

 ところが首相の発言を受けて、担当局長はこの答弁を撤回した。81年当時の解釈が続いていたのは、黒川氏の定年延長を閣議決定する直前の1月下旬に解釈を変更するまでだったと修正した。

 強引な解釈変更を取り繕うため、無理に答弁を修正し、つじつまを合わせたとしか見えない。このようなことが繰り返されれば、官僚組織は成り立たなくなる。

 刑事訴追の権限を原則独占する検察官は、行政官でありながら裁判官に準ずる待遇を与えられている。このため政府は検察庁法の制定後、検察官の任免は一般の公務員とは取り扱いが異なると説明している。

 こうした法の趣旨を無視するような形で、安倍政権は今回、人事権を行使した。政権に近いと目される黒川氏は、検事総長就任への道が開けた。やはり、黒川氏の定年延長ありきだったのではないか。

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