
1月の全日本選手権では3年連続の3冠こそ逃した伊藤美誠(左)だが、早田ひな(右)との女子ダブルスなどで2冠に輝いた=丸善インテックアリーナ大阪で2020年1月18日、久保玲撮影

今を楽しむ 隼とペア 自由にプレー=卓球・伊藤美誠
東京五輪で初めて行われる卓球の混合ダブルスの日本代表に選ばれました。同じ静岡県磐田市出身の水谷隼(じゅん)選手(30)=木下グループ=とペアを組みます。家も近く子どもの頃はお兄ちゃんのような存在で、所属時期は重なっていませんが、2人とも地元の豊田町卓球スポーツ少年団で練習していました。選手として尊敬していますが、今でも親しみを込めて隼と呼ばせてもらっています。

昨年は7月の韓国オープンで初めてペアを組み、優勝1回、準優勝4回と上々の成績。それでも最初はコンビネーションに不安もありました。混合ダブルスは男子選手に点を決める役割が求められます。隼は決定打を打ち抜く印象があまりなかったのですが、実際は決めるだけでなく私の良さも引き出してくれました。私は多彩な台上技術が持ち味と言われますが、パッと思い付いたレシーブでも慌てることなく対応してカバーしてくれます。自由にプレーすることができるので、ストレスなく戦えています。

駆け引きも巧みです。私が前、隼は後ろでプレーするのが基本ですが、私よりも前に出ることもあれば、時間を作って後ろに下がるのもうまい。お互い決め球はありますが、あれぐらい狙ったコースに打てれば、あの技術が全部できたならば、私は目標である「負けない選手」になれると思います。混合ダブルスを組んでいるだけでレベルアップができています。
私が小学校低学年の頃、留学先のドイツから帰ってきた隼が、私の家に遊びに来たことがあります。玄関を入ると目の前に卓球台があるので自然と卓球が始まりました。それまで打ち合う機会がなかなかなかったので、短い時間でしたが、本当に楽しかったことを覚えています。
混合ダブルスは東京五輪の卓球では最初の種目です。会場の雰囲気や卓球台に早く慣れる必要がありますが、今と同じように目の前の一戦一戦を大切にしたいと思います。自由に戦えたら、私たちの良さはきっと出せるはずです。
試合前に聴く音楽や好きな歌は何ですか。
試合前は音楽を聴くこともあれば聴かないことも。Little Glee Monsterさんの曲は心強い歌詞が多くて大好きです。ラグビー・ワールドカップのNHKテーマソング「ECHO」は仲間を信じて戦う団体競技の歌かもしれませんが、自分に置き換えて聴いています。
伊藤美誠(いとう・みま)
静岡県磐田市出身。2015年3月のドイツ・オープンでツアー史上最年少(当時)の14歳152日で優勝。16年リオデジャネイロ五輪団体銅メダル。18、19年全日本選手権3冠達成。スターツ所属。19歳。
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東京五輪を目指す選手のリレーコラム「アスリート交差点2020」。陸上の山県亮太▽競泳の渡辺一平▽バドミントンの奥原希望▽卓球の伊藤美誠▽カヌーの羽根田卓也――の各選手が競技へのこだわり、近況などを率直な言葉で伝えます。ご期待ください。
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