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社説

神戸教員いじめ報告書 再発防止の手立て全国で

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 子どもの教育に責任を持ち、本来いじめを防ぐべき学校で、いじめや暴力など125件に及ぶハラスメント行為が教員間で日常的に繰り返されていた。その事実に慄然(りつぜん)とする。

 神戸市立東須磨小学校で起きた教員間のいじめ問題の解明にあたった外部調査委員会が、事実関係や原因をまとめた報告書を発表した。

 年上の加害教員4人によるハラスメントは、被害者である25歳の男性教員に「激辛カレー」を強引に食べさせていたのにとどまらない。

 「くず」「死ね」と暴言を浴びせる。テニスラケットで頭をたたき、ひざ蹴りする。プールに放り込む。被害教員が交際中の女性教員の面前で嫌がらせをする――。

 報告書は、悪質な加害行為を受けた被害教員が「精神を病むに至るほどの筆舌に尽くしがたい苦しみを被った」と結論づけた。

 教育現場が特に深刻に受け止めなければならないのは、子どものいじめと同じ構造が教員間で生まれていたと指摘されている点である。

 報告書は、加害教員に弱い者への「いじめ」の心理が働き、中心人物の加害行為を周囲の同僚が容認し、追随していた実態を記している。

 管理職である歴代校長と一般教員の関係のいびつさも見逃してはならない。報告書は、威圧的な前校長が怖くて相談できなかった雰囲気や、現校長への相談が報復を招く悪循環などが、ハラスメント行為悪化の「遠因」だったと位置づけている。

 問題はこの小学校にとどまらない。2018年度に全国の公立小中高校などで教員間のパワハラなどで処分された者は32人に上る。

 加害教員らはきちんとしたハラスメント研修を受けていなかった。報告書は、加害教員の規範意識を是正する機会がなかったことが「大きな被害を生んだ」と分析している。

 管理職を含めて、人権意識を高め、教員間のいじめを防ぐための効果的な研修制度の導入が必要だ。被害を受けた教員が安心して相談できる窓口の設置も求められる。

 教育は国家の土台である。教員の多忙さが問題になる中、職場でのいじめが横行するようでは、教員のなり手と質を確保できない。再発を防止するための手立てを全国レベルで考えなければならない。

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